2019 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of Gliding Mechanism of the Flying Snake and Engineering Application for Aerial Robots
Project/Area Number |
19K04306
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
程島 竜一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10432006)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トビヘビ / 動的滑空運動 / 生物規範型ロボット / バイオメカニクス / 滑空実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物のトビヘビの滑空運動をロボット工学的に解析することを目標に研究を行った. まずトビヘビの滑空運動を解析するための数理モデルをヘビ型ロボットの研究で良く用いられる節体幹モデルにより構築した.回転対偶である関節により剛体であるリンクを多数連結することで生物のトビヘビの連続的な曲線形状を離散化し,滑空ヘビ型ロボットのモデルとして表現した.重量や慣性モーメントなどの定数は開発時に使用する予定であるDCモータや複合材料を基に,全長や胴体幅等の寸法は生物のトビヘビの寸法を基にそれぞれ設定した.解析には多体動力学に基づいて運動方程式を構築しMATLABを用いて解析を行った.解析ではヘビ型ロボットの形状を決定するくねり角,空中への射出速度や迎角をパラメータとして扱い,固定した滑空ヘビ型ロボットの屈曲形状と飛距離,滑空時間の関係を調査した.解析の結果,揚抗比が大きくなる迎角20度付近で飛距離が最大となること,くねり角が大きい,つまり屈曲の振幅が大きい程,飛行速度が大きくなることが確認できた. 次に関節角度を指令値として入力する関節角度制御により,屈曲形状の変化を伴う滑空運動の解析も行った.屈曲を生成する進行波の周波数を変化させても,滑空距離や滑空時間には大きな差異が見られない結果となった. 最後に,簡易実験モデルを製作し実際に高台から実験機を射出し滑空させる実験を行った.実験機では,軽量で剛性の高い機体を実現するために厚目表紙を構造材として採用し,超軽量のRCサーボモータ,模型飛行機用の軽量LiPoバッテリを採用し,寸法は生物のトビヘビに近づけた.実験は開発した射出装置を用いて高さ2.2mの高台から射出角度を変更しながら行った.シミュレーションの結果よりも滑空距離が短い結果になったが滑空姿勢は総じて安定する結果となり,滑空中の蛇行運動が姿勢安定化に寄与していることが期待できる結果となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していたロボット工学的な手法によるトビヘビの数理モデルの構築および基本的な滑空運動の解析,そして簡易実験機を用いた実験による検証も行えていることから,本年度に実施した研究はおおむね申請書の計画通りに進展していると考えている. シミュレーションの結果,くねり角を大きくすることで蛇行の振幅を大きくしたトビヘビの蛇行形状が滑空運動に有利なことが確認でき,生物のトビヘビと同様に揚抗比が大きくなる迎角が20度前後の時に滑空の飛距離が向上することが判明した.また実際にトビヘビの簡易実験機を試作して射出装置を用いた射出-滑空実験を行い,実験の結果,滑空ヘビ型ロボットを実現できる可能性を示唆できた.そして今後行う予定である実験機開発のための,ロボットの構造材料,アクチュエータ,駆動系,電装系についての基礎資料を得ることができた. なお生物のトビヘビの滑空運動前後で行われる離陸や着陸動作などの特徴的な動作の解析,数理モデルにおける滑空運動中のトルク入力による関節制御に関してのシミュレーションなど一部の計画に関しては予定よりも進捗がやや遅れている.ただ計画の大部分は予定通りに進行しており,これらの遅れている研究項目に関しては来年度に予定している実験機の開発と平行して行えるため来年度も引き続き行う予定であり,全体の計画の進行度に関しては問題はない.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断しているので,今後も申請書の計画に従い研究を遂行していく予定である. これまでに行った滑空ヘビ型ロボットにおける滑空運動の解析については,蛇行運動の振幅や振動数など基本的な部分の解析が多かったので,申請書で計画していなかった部分についても今後はより詳細な解析を行っていきたい.例えば,蛇行運動の形状や滑空特性との関係,滑空の安定性の指標の検討,滑空運動の力学などについても取り組む予定である. また離陸や着陸などの滑空運動と並ぶ特徴的な運動の解析や,滑空運動中のトルク入力による関節制御に関してのシミュレーションなど,本来予定していた研究項目ではあるが予定よりやや進捗が遅れている項目に関しては,来年度も本来の計画である実験機の開発と平行して引き続き研究を行っていく. なお動力学シミュレーションや実験の結果から,使用するモータの目標仕様,構造の剛性など滑空ヘビ型ロボットの実験機に関する設計指針が得られたので,この成果を用いて来年度に計画している実験機の開発を行う.そしてシミュレーションによる解析とロボット実験を相補的に進めていくことで,滑空の際の蛇行生成メカニズムにおける力学構造を明らかにしていきたいと考えている.
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