2020 Fiscal Year Research-status Report
予測型体性感覚と感覚統合に基づく人の動的バランス能力の評価指標策定とその検証
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19K04315
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
横田 祥 東洋大学, 理工学部, 准教授 (40434386)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感覚行動システム / バランス / パーソナルモビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
人のバランス能力は,姿勢変化の予測と,3つの感覚情報(視覚、体性感覚、前庭感覚)に基づいている.このバランス能力を測るために立乗り型PM(Personal Mobility)を利用する.本研究の目的は,移動するPMの外力に伴う姿勢制御と姿勢の揺れが生じるという他動的移動運動という条件の下,外力の予測と感覚情報の統合モデルを明らかにし,これを用いて動的バランス能力の定量的指標を見出すことにある. 今年度は,まず,前年度に遅延が生じた,PM乗車時の身体運動の計測システムを改良した.計測システムの見直しを行い,これまでよりも高分解能で身体動作を計測できる状態にした.その上で,上記の目的を達成するために,次の事項に取り組んだ.①他動運動によるバランス動作のモデル化,②それを用いたPMの制御系の実装とモデルの妥当性の検証. ①のモデル化のために,昨年と同様にPMと人を倒立振子に見立て,足首に能動トルクと受動トルクを付加したモデルを用意した.この足首の能動トルクのモデルが,他動運動によるバランス運動を表すと仮定し,この能動トルクの制御モデルをシミュレーションを用いて検証した.検証の結果,PD制御よりも微分先行型PD制御を用いた場合の方が,他動運動におけるバランス運動をよりよく表すことが分かった. ①のモデルの妥当性の検証のために,足首にトルクが入力されない倒立振子型のPMのモデルを用意し,シミュレーションを用いて,微分先行型PD制御を足首トルクに組み込んだ場合との差異を検証した.その結果,足首にトルクが入力されない倒立振子型のPMモデルは,他動運動においてバランスを崩し,転倒した.これに対し,提案モデルでは,他動運動時でもバランスを維持し,立位状態を維持できることが確認された.これにより,提案モデルが他動運動におけるバランス運動を表す1つのモデルであるといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は,人間計測による予測型体性感覚のモデル化に取り組む予定であったが,ここに遅延が生じている.その原因は,新型コロナウィルス感染拡大に伴い,被験者実験の実施が困難な状況にあったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
被験者実験の再開とともに,他動運動と身体動揺を計測し,両者の関係を表すモデルを作成する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大による影響で,被験者実験が実施できず実験協力者に対する謝金の支払いがなかったこと.また,同様の理由により,参加した国際会議と国内会議が全てオンライン開催となったため,当初予定していた旅費の支出がなかったためである. 次年度の使用計画として,被験者実験実施のためのPMの改造費,センサ等の消耗品費,実験協力者への謝金として使用する予定である.加えて,成果発表や情報収集のための学会参加登録費またその旅費としても使用する予定である.
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