2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of Optimal Reactor Structure for Water Treatment in Electric Discharge in Water and on Gas-Liquid Interface
Project/Area Number |
19K04323
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
須貝 太一 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (20535744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江 偉華 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90234682)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 水中放電 / 気液界面放電 / OHラジカル / オゾン / 大気圧プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は水中放電実験で使用する高電圧パルス電源の開発を行った。本電源はインダクタに蓄えられたエネルギーを瞬間的に負荷に放出する誘導エネルギー蓄積方式のパルス電源である。誘導エネルギーを放出するためにSOSダイオードと呼ばれる半導体開放スイッチを用いている。さらに高電圧を実現するためにこの誘導エネルギー蓄積回路を直列あるいは並列にする方式を新たに開発した。そのためにはこれらの回路でのスイッチングを数ナノ秒オーダーで同期する必要がる。これを実現するために、FPGAを用いてプログラミングにより入力信号の調整を行った。その結果、並列時は120A以上、直列時は60kV以上の出力を実現し、大口径の模擬放電負荷においても放電を確認した。 しかしながら、水中放電のためには少なくとも100kV程度は必要であるため、更なる高出力化が必要である。このため、本電源の入力から出力までのエネルギーの流れと各部の損失を計測した。その結果、回路中の変圧のためのコアでのロスが大きいことが明らかになった。また、出力電流が電源の浮遊容量成分に吸収されて出力電圧が減少してしまう課題も明らかになった。そこでまず、コアのロス低減方法を検討し、コアの厚さを小さくし、電線の巻き数を増やすことで低損失のエネルギー伝送が可能であることを明らかにした。浮遊容量はコアと電線間で大きいことが予測され、それを低減するために絶縁シートを介して、コアに電線を堆積して巻く方法を考案した。また、更なる出力改善のために本回路の実機を模擬するSPICE回路を考案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究代表者が海外研修で他の研究を行なっていたため、本科研費研究が一時中断した。その影響により、放電リアクタの電界シミュレーション、設計は遅れている。残り3年間で代表者の本研究のためのエフォートを増やすことで進捗を加速させる予定である。なお、分担者による電源開発は概ね順調であるが、電源の更なる改善が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、水中放電、気泡内放電、水滴表面放電のための電極の設計を行う。そのためにはシミュレータ(COMSOL)を用いることによって、各放電方式について電界分布および放電のシミュレーションを行い、各部の電子エネルギーについても評価しながら、最適な電極構造、および必要な印加電圧を決定する。それを元に、放電水処理リアクタを外部に依頼し作製すると共に、パルス高電圧電源のバージョンアップを行う。 リアクタ完成後にそれぞれのリアクタで印加電圧、パルス幅を変えてOHラジカル、過酸化水素、オゾン濃度を測定する。OHラジカルの測定のためにはテレフタル酸でOHラジカルをトラップし、蛍光法によりその濃度を測定する。生成された過酸化水素の測定には既成の試薬を使用する。さらにプラズマは照射せずに、プラズマ照射時と同濃度のオゾンを外部から供給し、そのときのOHラジカル量を測定する。これにより同じオゾン濃度における放電の有無でのOHラジカル量を比較することで、放電とオゾンのOH生成に対する影響を調べOHラジカルの生成経路を予測する。オゾン濃度の測定は購入済みのオゾン濃度計を使用する。また、デジタルカメラで各条件での放電光を観測し、放電強度と広がりの電圧依存性について調べる 最後に上記の結果を、過去に行った気中大気圧プラズマに水滴を噴霧する方式、外部からオゾンを供給する方式の結果も含めて比較、考察することで、OHラジカル反応のエネルギー効率が最も高いリアクタを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額生じたのは、研究代表者が今年度の海外研修により本研究を10ヶ月間中断し、本年度予定していたリアクタ内電界シミュレーションのスタートが遅れたためである。このシミュレーションは次年度に行う予定でおり、当該助成金額はそのためのパソコンとシミュレーションソフトに当てる。
|