2019 Fiscal Year Research-status Report
High accuracy simulation for conductive noise reduction on power converter using SiC device
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19K04326
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 亘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30581805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | EMI / SiC / シミュレーション / ノイズフィルタ / パワーエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における令和元年度の実績として,以下,3点に関する研究結果が得られた。 1,スイッチング時電圧立ち上がり・立ち下がりの考慮による漏れ電流の精度向上 2,漏れ電流経路でのインピーダンス測定とそのモデリングによるノイズシミュレーション 3,伝導ノイズの重畳と干渉に関するモデリング 1については,SiC-MOSFETにおけるスイッチング時での電圧立ち上がり,電圧立ち下がりを従来は理想スイッチングとみなしてモデリングしていたが,今回は,実際の立ち上がり時間,立ち下がり時間を測定し,その測定値からスロープを持った電圧のモデリングを行った。この電圧波形をもちいてシミュレーションを行ったところ,絶縁型AC-DCコンバータにおいては,150kHzから4MHzの近辺で最大20dBμV以上の誤差の改善が見られた。2については,漏れ電流波形からシミュレーション上で高周波等価回路を導出し, 雑音端子電圧のシミュレーション結果と測定結果を比較することで本手法の有用性及び妥当性を確認できた。また, インピーダンス測定によりノイズ経路をRLC パラメータに変換し,シミュレーション上で高周波等価回路を導出し,雑音端子電圧のシミュレーション結果と測定結果を比較することで本手法の有用性及び妥当性を確認できた。3については,SiC-MOSFET を用いた絶縁型,非絶縁型AC/DC コンバータを同時に動かし,ノイズの測定を行い,ノイズの重畳が起きていることを確認した。そのシステムにおいてノイズの重畳を考慮したシミュレーションモデリングを作成し,ノイズの重畳をシミュレーション上で再現できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にある通り,3つの結果を挙げているが,以下に関しての課題が残るため,概ね順調という状況である。 1,シミュレーション精度の向上 本研究では,主回路におけるスイッチングノイズが起因となり,ノイズが発生した時のコモンモードノイズのみに着目し,シミュレーションを実施している。しかし,実際の雑音端子電圧の測定結果には,主回路を起動させるためのドライブ回路や外部電源の影響及びノーマルモードノイズの影響が確認できる。これらについて,あらゆる物理現象を正確に考慮し,シミュレーション上に反映させる必要があると考える。 2,新たなシミュレーション手法の導出 データシートの情報のみから簡易なノイズシミュレーションを実施することができることを確認した。今後のEMI 対策において,簡易で高精度なノイズシミュレーションが求められており,机上の情報のみでノイズシミュレーションを完結することが望ましい。ゆえに,本年度の研究において,物理公式のみを用いてシミュレーションを実施したが,電磁界解析の技術や伝送線路の原理などを活用し,多角的にノイズシミュレーションを実施する必要があると考える。 今後,これらの課題を検討することで,雑音端子電圧を効率的に抑制でき,シミュレーション精度の向上が実現できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の課題として,次の点を考慮して研究を遂行する。 1,他回路を用いてのシミュレーション精度の実証 2,ノイズフィルターの高精度モデリング 3,伝導ノイズの重畳と干渉に関する高精度モデリング 1については,これまでは2つのシステム(絶縁型・非絶縁型AC/DCコンバータ)において,様々な角度からの実験・シミュレーションを実施してきたが,次年度については,更に測定システムを追加し,このシミュレーションを適用して効果の程を実証する。2については,コモンモードチョークコイルやトランスなど,浮遊容量や配線インダクタンス等を含む材料はその特性を等価回路で正確に模擬することが難しい。そこで,FEMシミュレーションや組み合わせ最適化手法などを取り入れてより正確なモデリングを行っていく。3については,ノイズの重畳を考慮することで,シミュレーション結果の再現性が低くなっている点がある。そこで,漏れ電流のモデリングをステップ電圧とRLC直列回路から構成することに限らず,並列回路等を用いてノイズ経路をより再現できるような手法を模索する予定である。
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