2021 Fiscal Year Annual Research Report
直流設備用ポリマーの撥水性及び電気的特性の劣化回復機構の解明と劣化診断技術の開発
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19K04331
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
迫田 達也 宮崎大学, 工学部, 教授 (90310028)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シリコーンゴム / 撥水性 / 部分放電 / 漏れ電流 / 撥水性回復時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究従事者は,22 kV用配電系統で10年から20年間屋外使用されたポリマーがいしから試験用試料(SiR)を作製し,同SiR試料に対して直流電圧課電による塩霧試験を複数回実施し,試料表面の撥水性の劣化及び回復特性を検証している。その結果,連続塩霧試験の試験回数に応じてSiR試料の表面撥水性の回復時間が長くなること,また,その回復時間は屋外での経年が長い程長くなることを明らかにしている。一方で,試験用試料は交流機器から得ているため,塩霧試験時のDC電圧による電圧加速劣化度がどの程度か把握しておく必要ある。そのため,DC課電とAC課電による電圧加速劣化度を評価・比較した。 ここでは,DC 3.6 kV,AC 3.6kV,22 kV用電力機器の対地電圧のAC13.3kV,これらの中央値であるAC 8.5 kVで連続塩霧試験を5回実施した。その結果,撥水性回復時間はAC 3.6 kVを課電した試料の撥水性が最も早く回復したが,他の電圧を課電した試料には大きな差が確認されなかった。また,電気的特性は,AC 13.3 kVによる課電試料が他の電圧によるものと比べて放電回数や累積電気量,漏れ電流値の特徴が大きく異なっていた。AC 8.5kV課電の場合,最大漏れ電流値が大きいために平均漏れ電流値がDC 3.6 kVとAC 3.6 kVより若干大きいものの,累積電気量や放電回数はDC 3.6 kVやAC 3.6 kV課電試料と同様となった。また,試料表面状態に,課電電圧による大きな差は確認されなかった 以上のことから, DC 3.6 kV課電(平均印加電界120 V/mm)による塩霧試験の電圧加速劣化度は,AC 8.5 kV(平均印加電界283 V/mm)によるものと同等であると考えられる。
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