2020 Fiscal Year Research-status Report
社会実装を目指したAC/DCハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドに関する研究
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19K04336
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
雪田 和人 愛知工業大学, 工学部, 教授 (60298461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 直流給配電 / マイクログリッド / スマートグリッド / 電力変換装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,交流給電方式を用いたマイクロ/スマートグリッドに,社会実装を目指した直流給配電を導入したAC/DCハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドの開発を実施している。これまで研究してきたハイブリッド型のグリッドにおける直流給電部分は,交流系統と絶縁し,直流給電部分を浮かしたシステムであった。このシステムにおいては,交流系統との保護協調が容易であるという利点があるが,直流系統に故障が発生した場合,大事故につながる可能性も否定できない。このため,ハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドを広く社会に導入するには,直流システムの安心・安全に課題があった。 本研究では,直流給電システムにおいて従来用いてきたユニポーラ型のシステムではなく,中性線接地方式を用いたバイポーラ型システムを採用し,システムの安全・安心性能を高めたAC/DCハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドの開発し社会実装を目標として実施している。このために,マイクログリッドの運転状況におけるシステムの接地方式について研究を実施した。このとき系統と連系しているACグリッドシステムは系統と連系して運転しているときは,系統との連系点などでシステムの接地がなされているものの系統から解列した運転を実施には,システムの接地方式が異なり制御・保護方式が変更し運転が実施されていることが多い。このため,DC方式を採用したときの系統連系―自立運転―系統連系のシステムの運転状況が変化するときの接地方式の変化におけるグリッドの制御方式について検討を実施した。さらに,本研究では直流給電システムにおける変換装置に関して,モノポーラ方式とバイポーラ方式の接地方式を検討するとともに,バイポーラ方式の変換装置の設計と新しい変換装置を用いたときの保護について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,申請者がこれまで開発してきたAC/DCハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドの直流母線をバイポーラ型に改良することを目標としている。具体的には、従来型のモノポーラ型システムを提案型のバイポーラシステムに変更し、基本的な動特性を実験室にて確認した。従来型のモノポーラ型は2線方式で大地から浮かせていたのに対し、バイポーラ型は変換器を2台用いた3線式である。そこで、3線式となると中性線が共通であるが、各変換器を用いた場合の負荷バランスについても検討する必要があることがわかった。この負荷バランスにおいては、保護装置を考慮した場合、特に中性線設置方式を導入したときに中性線の故障電流の判定をする際に問題となることがわかった。そこで、この保護方式における抵抗値の選定や接地方式などについて検討する必要がある。 さらに本研究では、AC/DCの変換に関して、多相変圧器を用いる場合についてのAC/DCハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドに関して検討を行った。この多相変圧器方式は、各位相が120度異なる3相入力された変圧器から各位相が15度異なる12相出力とし、この12相を整流することにより直流出力をする装置である。また、12相出力のうち、120度異なる相を用いると、3相の交流出力を可能となる装置である。 このことから、AC/DCハイブリットの変換装置においても保護方式を検討した。パワーエレクトロニクスを用いた変換装置とは異なり、直流出力は入力された交流系統に依存するため、出力される直流電力は変動を伴っている。このため、直流電圧に際しても変動が大きいことが予測される。本研究では、直流電力の変動が負荷機器に与える影響について、基本的な検討を実施した。 以上のことから,本研究は若干計画よりも進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,交流給電方式を用いたマイクロ/スマートグリッドに,社会実装を目指した直流給配電を導入したAC/DCハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドの開発を行うことである。これまで開発してきたハイブリッド型のグリッドにおける直流給電部分は,交流系統と絶縁し直流給電部分を浮かしたシステムであった。このシステムにおいては,交流系統との保護協調が容易であるという利点があるが,直流系統に故障が発生した場合,大事故につながる可能性も否定できない。このため,これまで開発したハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドを広く社会に導入するには,システムの安心・安全に関して課題があった。 本研究では,直流給電システムにおいて従来用いてきたユニポーラ型のシステムではなく,中性線接地方式を用いたバイポーラ型システムを採用しシステムの安全・安心性能を高めたAC/DCハイブリッド型マイクロ/スマートグリッドの開発し社会実装を目指す。さらにAC/DC変換装置に関しては、これまでのパワーエレクトロニクスを用いた方式のほかに、多相変圧器を用いた方式についても検討を実施する。 最終年度では、昨年度までの研究成果をもとに,具体的に製作したバイポーラ型変換装置と3線式の直流給配電システムを用いて、社会実装にむけての基本的な実証実験を行う。具体的には、実際の太陽光発電装置や太陽光発電装置、蓄電装置、交流負荷機器、直流負荷機器を用いて多面的な検討を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の差が生じた大きな理由としては、コロナ禍の影響により、出張旅費の使用が少なったことがあげられる。また、電子部品の購入に関しても、コロナの影響により入手ができなかったものも上げらる。
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Research Products
(5 results)