2020 Fiscal Year Research-status Report
トロイダル巻線構造高トルク密度アキシャルギャップ誘導モータの開発
Project/Area Number |
19K04344
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉田 征弘 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (60725399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アキシャルギャップ誘導モータ / 誘導モータ / トロイダル巻 / トルク密度 / リラクタンスネットワーク解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高トルク化が可能なアキシャルギャップ構造に着目し,これに適した制作が可能な誘導モータの最適形状を明らかにするとともに,同体格のラジアルギャップ誘導モータの約2倍のトルク特性が得られることを明らかにすることを目的としている。昨年度までの検討結果で,提案するシングルステータ・ダブルロータのアキシャルギャップ誘導モータは,従来のラジアルギャップ誘導モータと同等以上のトルクをおよそ半分の体積で出すことができ,トルク密度を約2倍とすることが可能であることがわかった。これを受けて本年度は,電気機器の電気・磁気特性の高速計算が可能なリラクタンスネットワーク解析(RNA)によりインバータ駆動時を想定したモータの効率特性の算定を行った。 誘導モータの解析においては,回転子導体に流れる電流を考慮する必要があり,渦電流を考慮した過渡解析が必要となるため,解析時間が長大化する傾向がある。また,誘導モータを速度制御するためにはインバータ駆動となり,PWM制御を考慮した解析ではさらに解析時間が長大化する。そのため,計算時間が短く,連成解析が容易な解析手法であるRNAを用いて,アキシャルギャップ誘導モータのモデル構築し,有限要素解析(FEA)による電磁界解析との比較によりモデルの妥当性を確認したうえで,アキシャルギャップ誘導モータの効率マップ作成手法について検討した。今後は,設計したアキシャルギャップ誘導モータの試作を行い,設計および解析によって得られた効率マップの妥当性検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,設計されたアキシャルギャップ誘導モータについて,その出力特性および効率特性を調べるために,RNAモデルによる効率マップの算定を試みた。回転子導体に発生する渦電流を考慮するには,過渡解析が必要となり計算時間が長大化するため,モデルの簡便化を図り,FEAモデルの計算値と比較して概ね一致することから,モデルの妥当性を示した。また,提案モデルの計算時間はFEAと比較して約1/12であり,高速計算が可能であることが示された。計算した効率マップでは,駆動可能領域の範囲では高速回転時の効率が高くなることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
設計および解析に基づき,モータを試作・実験し,提案するアキシャルギャップ誘導モータの有用性を実証する予定である。また,回転子導体に発生する2次銅損が1次巻線に発生する銅損と同程度であったことから,回転子導体の形状変更により2次銅損を低減してモータ効率を向上するための設計を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はモータの解析ソフトフェア等を購入したが,試作・実験に使用予定であった治具等の発注を業者との調整で次年度とすることになり,次年度使用額が生じた。しかしながら,予算は概ね順調に消化できており,特に問題はない。 次年度は、これまでの検討に基づき,シングルステータ・ダブルロータのアキシャルギャップ誘導モータを試作する。本研究で得られた成果を電気学会マグネティックス研究会,電気学会全国大会で発表する予定である。
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