2019 Fiscal Year Research-status Report
次世代型カプセル内視鏡のための連結用磁気駆動多機能モジュールの開発
Project/Area Number |
19K04353
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
本田 崇 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (70295004)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カプセル内視鏡 / 永久磁石 / 外部磁界 / 磁気トルク / 細胞診 / 生検 / 薬剤散布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、診断や治療の機能を有する次世代のカプセル内視鏡の実現を目指し、既存のカプセル内視鏡に連結して使用する磁気駆動の多機能モジュールの開発を目的とした。提案する多機能モジュールは、永久磁石を組み込んだ複数の磁気アクチュエータから構成され、カプセル内に収納される。その特徴は体外からの磁界の制御によって、各機能をワイヤレスかつ独立に駆動できる点にあり、本研究では3つ以上の機能をカプセルに付与することを目指す。具体的には、その場にとどまるアンカー機能、自走機能も含めた位置合わせ機能、細胞診機能、生検機能、薬剤放出機能などである。 1年目では、診断・治療に関連する機能として、細胞診、生検、薬剤放出及びアンカーの機能を採り上げ、それぞれの機能に適した磁気アクチュエータの開発を行った。各アクチュエータはボルトとナットを基本構成とし、回転磁界によって所望の動作ができるように設計した。以下、それぞれの成果について簡単に述べる。 細胞診機能では、ブラシを擦過させる動作を採用した。単純な前後の擦過だけでなく、ブラシに回転の動作を加えた結果、粘液採取量を大幅に増大させることに成功した。生検機能では、従来検討していた円筒刃による生検法が穿孔による出血の危険があるとの医師からの指摘を受け、生検鉗子による組織採取を試みた。鉗子をカプセルから突出・格納する動作、及び鉗子の開閉を1つの磁気アクチュエータで実現する手法を考案し、実際に動作を確認した。薬剤放出機能については、シリコーンバルーンに薬剤を注入し、磁気駆動ピンチバルブで放出量を制御する手法を考案した。単純な放出動作だけでなく、穿刺機能との組み合わせについても検討を行い実現できる見通しを得た。アンカー機能に関しては、筐体を拡張する方式とバルーンをガスで拡張する2方式を検討し、それぞれの動作を確認した。今後どちらを選定するか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した1年目の予定通りおおむね順調に進捗している。とくに薬剤散布の機能については、当初の予定になかった穿刺の動作と連携させることにも成功し、本研究の目的とする多機能モジュールの実現に大きく前進した。細胞診や生検の機能も無負荷での動作確認だけでなく、粘液や組織の採取量を増大する機構を採り入れており、各機能の性能向上が図られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目では、初年度に開発した各機能を組み合わせることで、多機能モジュールとして3つ以上の機能をカプセルに付与することを目指す予定である。 現在検討しているのは、「アンカー・穿刺・薬剤放出」と「アンカー・自走・細胞診(生検)」の組み合わせである。アンカーについては複数候補があるため、2年目の前半でどの方式がよいか評価を行い、2年目後半で多機能モジュールに実装する予定である。
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Research Products
(4 results)