2021 Fiscal Year Research-status Report
Economic and Environmental Evaluation Method and Suitable Location Map for the Bifacial Photovoltaic Modules
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19K04358
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 雅一 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (80444115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 泰弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40257209) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 両面受光型太陽電池 / 垂直設置 / ライフサイクルアセスメント / 地理情報システム / 砂漠 / 天空率 |
Outline of Annual Research Achievements |
両面受光型太陽電池は,近年の技術開発により通常の片面受光型太陽電池と価格が近くなり,利用が拡大している。また,両面受光型太陽電池は垂直に設置することで発電量をあまり減らさずに,太陽電池への砂の堆積や積雪を防ぐことができ,土地の有効利用も可能である。一方で,従来型の発電量推定手法は片面受光型太陽電池を想定しているため,両面受光型太陽電池に対応した発電量推定手法が求められている。 本研究では,垂直設置により地面反射成分など複雑化する発電量の推定方法の開発を行い,また,環境性と合わせた評価として,ライフサイクルアセスメントと地理情報システム(GIS)を組合せ,垂直設置型両面PVの経済性・環境性が分かる適地地図の作成を行い,利用価値を明らかにする。 昨年度までに,太陽電池アレイの離隔距離を最適化する離隔距離最適化手法のため,出力に影響する太陽電池モジュールのクラスタの考慮の他,前方の太陽電池など障害物を除くための視野度推定手法の開発を進めた。本年度は,後述する地面反射成分の推定手法の追加に加え,GISを用いた適地地図の作成を進めた。世界全体を対象とし,地表面アルベドや気温を考慮し,離隔距離最適化を行った上でコストを評価し,地域による最適な設置方法を示した地図を作成した。これらは,PVSEC-31太陽光発電国際会議(2021年12月シドニー,オンライン)等で報告した。 また,垂直設置された両面受光型太陽電池は地面反射成分が大きくなるため,影を考慮していない従来の均一反射モデルでは発電量を過大に推定してしまう。このため,新しい推定手法として,角度表現モデルの開発を進めてきた。本年度は,地面影部分の日射量が推定よりも少ない点に着目し,太陽電池や建物による散乱成分の減少を考慮するため天空率を導入した。この結果は令和4電気学会全国大会(2022年3月,岡山大学,オンライン)で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
垂直設置型型両面受光型太陽電池向けの発電量推定についての検討では,直達成分として出力に影響する太陽電池モジュールのクラスタ(ダイオード毎の直列セル)への影のかかり方の考慮の他,散乱成分として前方の太陽電池など障害物を除くための視野度推定手法(サイトファクター)の開発,また,地面反射成分の推定手法についても物体からの放射を表現した形態係数モデルを用いて推定手法は概ねまとまり,最適離隔距離等を算出できるようになった。これをGISに適用し,世界地図上で日射や地面反射アルベド,気温などから設置方法で比較を行い,どのような設置方法が適しているかまとめた。これらについて国際学会1件,国内学会2件で発表し,国内学会では令和3年YOC奨励賞 (電気学会電力・エネルギー部門大会)を受賞した。 また,地面影を考慮した地面反射成分の推定手法については,開発した角度表現モデルと文献から形態係数モデルを実験により比較し,どちらも従来手法である均一反射モデルよりも高い精度が出ている。本年度は太陽電池や建物による散乱成分減少を考慮するため天空率を導入し,さらに精度を高めている。これについては国内学会で1件発表を行った。 テーマのひとつであるライフサイクルアセスメントについては上述の研究が概ねまとまったことから本格的に取り組み始めたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
垂直設置型型両面受光型太陽電池向けの発電量推定手法については概ねまとまったところであり,学術論文を執筆中である。投稿先は,Elsevier社のSolar Energy(IF5.7)を予定している。 地面反射成分のモデル化については屋外実験の回数が少ないため,回数を増やす。また,継続的な計測や,1モジュールではなく複数モジュールでの評価や,継続的な計測も,別予算の獲得などにより実施を行いたい。 ライフサイクルアセスメントは遅れいている部分であるが,その他の部分は概ねまとまったため,集中して行う。LCAデータの収集を引き続き進め,上述の発電量データと合わせながらソフトウェアMiLCAにて解析を進める。 これらの内容を,学会発表や学術雑誌への投稿を行っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ渦により多くの影響が生じた。国際学会のオンライン開催や見送り等から出張費を支出できず,また,遠隔授業や学生の自宅研究などにより進捗が遅れ,論文投稿費を支出できなかった事が理由である。本年度は状況によるが国際学会等への出張や,研究をより進めて論文投稿にかかる費用の支出を予定する。
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