2019 Fiscal Year Research-status Report
フライングキャパシタを相互に組入れたインターリーブ式ソフトスイッチングコンバータ
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19K04361
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
安東 至 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20212665)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インターリーブ / フライングキャパシタ / ソフトスイッチング / 昇圧コンバータ / 高入力力率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,フライングキャパシタ(以下,FC)を相互に組入れたインターリーフ式ソフトスイッチングコンバータを提案し,その能力と制御手法,設計手法を明らかにするものである。 2019年度は提案コンバータにおいて,(1)入力力率98%以上,正弦波入力電流,出力電圧変動率1%以下,(2)用いるすべての半導体スイッチ(以下,SW)素子のソフトSW動作の達成,(3)入力電流高調波歪率THDは5%以下を達成,(4)電源電圧80Vから220Vまでの対応を可能にし,出力電圧は入力電圧の4倍以上,(5)電源電圧変動時にも電圧変動率1%以下の安定出力電圧の供給とFCによる昇圧効果の確認 について,それぞれ可能にするための電子回路による基本制御回路設計をシミュレーションソフトPSIMで行った。 電子回路のリアルタイムフィードバック制御においては,(1)から(5)のすべてを達成可能な制御手法と制御回路を構成することができた。また,これら設計を基に試作機の製作にも取りかかり,入力電圧50Vrms,出力電圧指令値200Vの簡易実験では,650W以上の負荷において,入力力率99%以上の正弦波入力電流,出力電圧変動率1%以下の良好な特性を達成することができた。また,すべての素子において,ソフトスイッチングを達成していることも試作機で確認することができた。FCを活用して,電源電圧の4倍の出力電圧と並列接続された各コンバータがスイッチングする度に相互補完するように充放電するインターリーブ接続による特徴も確認することができた。 さらに,動作モード分けし,回路方程式による理論的回路解析が実施できた。 以上のことから,本年度の研究実施計画はほぼ達成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,提案コンバータの (1)入力力率98%以上,正弦波入力電流,出力電圧変動率1%以下,(2)用いるすべての半導体SW素子のソフトスイッチング動作の達成,(3)入力電流高調波歪率THDは5%以下を達成,(4)電源電圧80Vから220Vまでの対応を可能にし,出力電圧は入力電圧の4倍以上,(5)電源電圧変動時にも電圧変動率1%以下の安定出力電圧の供給とFCによる昇圧効果の確認 をそれぞれ達成するための基本制御プログラム設計を行う予定であった。現在,電子制御回路による設計は終了し,試作機による基本的実験も実施できている。電子制御回路をデジタルシグナルプロセッサ(DSP)用制御プログラムに移植する作業が残っているが,本来,2020年度に実施予定の試作機の作成や実験による確認,理論的解析が既に進んでいることから,総合的に順調に進んでいると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,2019年度に開発した電子制御回路をデジタルシグナルプロセッサ(DSP)用制御プログラムに移植し,同様の動作を可能にする。その後,試作機と組み合わせ,DSPによる実験システムを構築するとともに各制御補償器のゲイン調整を行う。そして,出力電圧一定制御特性および入力特性に関する実験を行い,出力電圧変動率1%以下,入力力率98%以上,1kW負荷時において3%程度の効率向上を確認する。 さらに,インターリーブ構成のために並列接続された昇圧チョッパはそのリアクトル値に数%の差が生じただけでリアクトル電流の立ち上がりタイミングがずれ,入力電流波形に偏りが生じる。これについては,問題ならないレベルでスイッチングをストップする入力電流波形改善手法を開発済みで,シミュレーションでもその効果を確認しているので,試作機に組み入れる。 上記実験データを取得後は,制御,入力電流波形,損失について理論的側面から解析を行い,フライングキャパシタ部電圧と出力電圧の関係によるフライングキャパシタの設計や,一層の高調波電流と損失の低減を探る予定である。 本回路はフライングキャパシタの充電と放電期間がL,Cや負荷の大きさによって変化することから昇圧限界もあり,適切なフライングキャパシタ電圧も変わることが予想され,理論的動作可能範囲を明らかにするとともにその範囲拡大対策も検討する。
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Causes of Carryover |
本研究では入力電圧の4倍以上の電圧を出力する特長を有することや,ソフトスイッチングを達成できる目的と主回路構成から,高耐圧の逆阻止型高速半導体スイッチングデバイスが必要である。逆導通型IGBTの種類は豊富であるものの逆阻止・高耐圧タイプは種類が少なく,国内品のみならず輸入品を含めて検討していた。しかし,国内品の品薄と世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響から当初見込んでいたデバイスの生産,輸入が滞り,購入できなかったものである。今年度は年度当初から高価な国内品も含めて検討し,実験に間に合わせる予定であり,仮に希望素子が購入できない場合には効率面の影響を理解した上で,素子を組み合わせる形で構成する。また,当初からの2020年度使用経費は計画通り使用する。
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Research Products
(5 results)