2022 Fiscal Year Research-status Report
先進ガン治療装置の普及を加速させるための超伝導マグネットの極軽量化に関する研究
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19K04364
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
尾花 哲浩 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60435518)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超伝導コイル / 重粒子線がん治療 / ガントリー |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導技術を活用した重粒子線がん治療用『回転ガントリー』を、国内外の医療施設へ普及させるためには、装置の大幅な軽量化が急務である。そこで、『回転ガントリー』の中核機器である超伝導マグネットの極軽量化を行う。現状の超伝導マグネットには、漏れ磁場遮蔽のために、巨大重量物である鉄ヨークを使用している。その鉄ヨークを一切使用しない“アクティブシールド(能動的磁場遮蔽)型”超伝導マグネットの設計概念を新たに導入することで、マグネット重量の劇的な軽量化を実現する。アクティブシールド型超伝導マグネットでは、鉄ヨークの代わりに超伝導コイルを用いて、マグネットから周囲に漏れる磁場を遮蔽する。それゆえ、アクティブシールド型超伝導マグネットは、粒子ビーム軌道を曲げるための『偏向磁場用コイル』と『漏れ磁場遮蔽用コイル』の2種類の超伝導コイルから構成される。 2022年度の研究活動によって,偏向磁場用コイルの外周に位置する『漏れ磁場遮蔽用コイル』の設置誤差がもたらす電磁力への影響を、磁場計算結果を基にして評価することができた。また、アクティブシールド型超伝導マグネットの断面をモデル化したFEMモデルを用いて、マグネットを室温から極低温(5K)まで冷却した際に生じるコイル断面形状の変形を評価することができた。更に、アクティブシールド型超伝導マグネットの原理実証実験のために、『偏向磁場用コイル』と『漏れ磁場遮蔽用コイル』のモデルコイルを試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度に予定していた『偏向磁場用コイル』と『漏れ磁場遮蔽用コイル』の3次元形状設計がまだ完了していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を基に、アクティブシールド型超伝導マグネットの3次元形状に関する設計研究に取り組む。特に、マグネットの長手方向で生じる漏れ磁場とマグネットのインダクタンスについて評価する。また、マグネットの端部形状による磁場分布への影響を定量的に評価する。
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Causes of Carryover |
研究成果発表を予定していた国際学会へ参加できなかったため、海外渡航費及び学会参加費を使用することが無くなった。 2022年度の残予算は、2023年度に参加を予定している国際学会への旅費等に使用することを計画している。
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