2020 Fiscal Year Research-status Report
モード分割多重伝送における体積ホログラムを用いたモード交換技術
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19K04366
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 淳 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (40224068)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モード分割通信 / モード交換 / ホログラム / 空間光変調器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、1チップのホログラム素子により、同時並行的に空間モードを交換する方法論の提案とその検証を行った。本年度は、特に、クロストーク低減に向けて、体積ホログラムとランダム拡散版を組み合わせた空間モード交換技術を考案した。また、提案方式の基本動作を、モード分割多重システムにおける数モードファイバに結合したクロストーク成分を考慮して検証した。シミュレーションの結果、ランダム拡散版の最適な拡散角を明らかにし、最大クロストークが-15.8dBまで抑制できることを確認した。これらの結果は、ランダム拡散版を用いて信号光の強度分布を一様に散乱させることで、対象外のホログラムの影響を低減し、高い交換性能を得ることができることを示した点で学術的な意義が高い。
次に、ホログラム素子と空間光変調器を組み合わせることで、可変的なモード交換を実現する方法に関して、昨年度に実施した基礎実験の結果をふまえ、以下のような検討を進めた。まず、空間光変調器に逆畳み込み法により求めた位相を表示し、ホログラム回折において散逸したパワーを回収することをシミュレーションにより試みた。その結果、SMFに対して最大1.72dBの結合パワー向上がみられ、信号パワーの補償が行えることを明らかにした。次に、この手法の適用には高解像度のSLMが必要であるためコスト面で劣る。本研究では補償波面の解像度耐性を評価することにより、当初設定の1/8の解像度でも十分な補償動作が見込めることを明らかにした。これらの結果は、ホログラム素子と空間光変調器の組み合わせによって、可変的なモード交換を行う場合に、空間光変調器に補正用の信号を付加することで、モード交換の大幅な性能向上を可能にする点で大きな意義を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1チップのホログラム素子により、同時並行的に空間モードを交換する方法については、ランダム拡散版の最適化により性能向上が示され、学術論文として結果を発表した。また、ホログラム素子と空間光変調器を組み合わせることにより、可変的なモード交換を行う技術については、当初、考案されていなかった逆畳み込み法による性能改善という新たな着想に至り、その動作検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
体積ホログラムによるモード交換については、モード交換性能を高める新たな方法を探索し、これを実証する。ホログラムと空間光変調器を組み合わせるモードスイッチについては、本年度の結果を実験により検証すること、また、ホログラムからの回折光を補償する方法の最適化を進める。尚、体積ホログラム材料の入手が困難である場合には、数値解析を中心に研究を進める。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催になったため旅費の支出がなかった。次年度では光学素子などを購入予定である。
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Research Products
(4 results)