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2020 Fiscal Year Research-status Report

地上波8K放送実現のための偏波MIMOギャップフィラーの研究

Research Project

Project/Area Number 19K04372
Research InstitutionUniversity of Fukui

Principal Investigator

藤元 美俊  福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (30362031)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords地上波 / 4K,8K放送 / 偏波 / MIMO / ギャップフィラー
Outline of Annual Research Achievements

衛星4K,8K 放送の実用化に伴い,地上波放送による4K,8K 放送が検討されている.地上波4K,8K 放送の実現に向けて,送受信に複数のアンテナを用いる並列伝送(Multi-Input Multi-Output,以下MIMO) 伝送と偏波の直交性を用いた偏波MIMO 伝送の導入が検討されている.しかし,偏波MIMO は見通し外環境で伝送品質が低下する.そこで,本研究では,中継器(ギャップフィラー)を用いて伝送特性を改善する偏波MIMO ギャップフィラーの効果について検討している.
令和元年度は,建物の影などの見通し外(Non-Line-Of-Sight,以下NLOS)環境においては,偏波間の伝送特性に差が生じ,伝送系全体の特性が劣化することを確認し,中継局を設置することによって伝送特性の劣化を軽減できることを示した.
令和2年度は中継器から再送信を行う際の,効率的なアンテナ指向性について検討した.中継器をサービスエリア内の最も高い建物に設置し,中継所アンテナのビーム幅が受信品質に与える影響解析した.その結果,建物高が高い市街地ではビーム幅は比較的広く設定することが有効であることが分かった.
また,極めて広いサービスエリアを想定し,送信所から100km程度離れた地域での受信特性を解析した.評価指標としては,4K 放送を実施するために必要なチャネル容量(誤りなく伝送できる最大速度)を用いて評価した.その結果,中継所設置により受信特性が改善され,受信不可能な地域を半減できることを示した.また,受信可能エリアは住宅街では90%まで改善できるものの,市街地で75%程度にとどまることが明らかとなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では,地上波を用いた高精細映像放送の可能性を先行的に調査している.下記2つを問題点としてあげ,偏波MIMOギャップフィラーの研究開発を実施している.1)直接波の遮蔽による受信信号強度の低下2)反射や回折に伴う偏波間の干渉
本研究で取り組むギャップフィラーの特徴は,送信所からの直接波が十分に届かない地域での受信強度を回復させると同時に,偏波特性の補償も行う点である.偏波MIMO伝送において十分な伝送速度向上効果を得るためには両偏波の伝送特性が対等である必要があるが,これまでの研究により水平偏波と垂直偏波では伝送特性が異なることが
明らかとなっている.そこで,対等な伝送特性を持つ偏波を用いた偏波MIMO伝送方式について,以下の課題を挙げている.
[課題1]:市街地における偏波特性の把握,[課題2]:偏波MIMOに適したアンテナ構成の提案,[課題3]:ギャップフィラー設置位置の提案
令和元年度には,上記の課題1である,「市街地における偏波特性の測定・解析」を実施した.ここでは,通常用いられる垂直偏波,水平偏波だけでなく,斜め偏波,円偏波などについても市街地における反射,偏波回転などの伝送特性を把握した.
令和2年度には,上記の課題2および課題3の一部を実施した.親局送信所から比較的近い地域では,偏波MIMOギャップフィラーの導入により受信不可能エリアはほぼ解消できるが,親局送信所から離れている地域では受信不可能エリアを十分解消できないことが分かった.

Strategy for Future Research Activity

偏波MIMO中継所(偏波MIMOギャップフィラー)の設置により受信特性が改善されるものの,受信可能エリアは住宅街では90%,市街地で75%程度にとどまり,これを改善することが今後の課題である.課題を解決するために,下記項目の検討を予定している.
1)中継所における偏波の直交性の復元:親局送信所-中継局間,中継局-受信局のいずれにおいても偏波の直交性が失われる.そのため偏波の直交性を利用する偏波MIMOギャップフィラーの効果が低減する.そこで,中継局,受信局のそれぞれにおいても偏波の直交性を復元し,偏波MIMOギャップフィラーの効果を最大限発揮する手法について検討する.
2)中継所設置位置の最適化:これまでは,検討対象受信エリアにおいて中継局は1局のみとして検討していた.しかし,これまでの検討から1局のみで受信不可能エリアを十分低減することは難しいと判断される.対象地域において受信不可能エリアを十分に低減するには複数基地局配置が効果的と考えられるが,同時にコストがかかってしまう.そこで,複数中継局を連携し,より効率的に運用する手法について検討する.
3)中継所アンテナ指向性の最適化:これまでの検討で,市街地など建物の高さが大きく異なる地域では,高層ビル群の背後において特に受信特性が劣化することが明らかとなっている.このような場合は,地域の建物高分布に合わせた送信指向性アンテナの設定が効果的と考えられる.そこで,建物形状に適した中継所アンテナの設置位置,アンテナ指向性の適切な設定方法について検討する.

Causes of Carryover

令和2年度は,実際の電波伝搬状況を把握するために伝搬測定実験を実施する予定であった.しかし,コロナウイルス感染拡大を受け実験の実施を行わず,実験装置の導入を見送った.
次年度は,可能であれば実験を実施する.また,状況により実験の実施が難しい場合は,電波伝搬シミュレータを導入し,実験と同等の検討を行う.

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 2020

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] Service Area Expansion by Polarization MIMO Gap-filler in Terrestrial TV Broadcasting2021

    • Author(s)
      Kentaro Tanaka and Mitoshi Fujimoto
    • Organizer
      Proceedings of International Symposium on Antennas and Propagation
  • [Presentation] 地上波TV放送の長距離伝送おける偏波MIMOギャップフィラーによる受信特性改善2021

    • Author(s)
      田中健太郎,藤元美俊
    • Organizer
      2021年電子情報通信学会総合大会
  • [Presentation] 地上波放送における偏波MIMOギャップフィラーによる受信エリア拡大2020

    • Author(s)
      田中健太郎,藤元美俊
    • Organizer
      2020年電子情報通信学会ソサイエティ大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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