2022 Fiscal Year Research-status Report
光無線OFDM方式におけるプリコーディングを利用したコードシフトキーイング
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19K04373
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| Research Institution | Shizuoka University |
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Principal Investigator |
大内 浩司 静岡大学, 工学部, 准教授 (50313937)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 光無線通信 / 直交周波数分割多重 / 強度変調 / コードシフトキーイング |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では，光無線通信に直交周波数分割多重（OFDM）方式を応用することを念頭に置き，OFDM信号上でコードシフトキーイング（CSK）による情報伝送を行う方式を研究している．OFDM信号上でCSKを実現するために，本研究ではOFDM信号に対するプリコーディング処理に着目している．これにより，情報伝送効率の向上と誤り率特性の改善の両方が期待できる．令和４年度の研究実績の概要を以下に示す．
1. 前年度に引き続き，OFDM方式におけるサブキャリアを幾つかのグループにグループ分けして，各グループにおいてプリコーディング処理を行う方式（以下，本方式）の研究を進めた．このプリコーディング処理は，Zadoff-Chu系列から得られる行列の乗算によって主に実現する．Zadoff-Chu系列の生成パラメータの解析を前年度までに進めていたが，令和４年度はこれをさらに進め，プリコーディング処理に高速フーリエ変換のアルゴリズムが応用できることを明らかにした．この成果については，学会発表を行った．
2. 前年度に引き続き，プリコーディング処理に用いる行列として，加重分数次フーリエ変換で用いられる変換行列の利用も研究した．この行列を用いた場合，キャリア周波数オフセットやブロック時間オフセットをブラインド推定できることを前年度までに明らかにしていたが，令和４年度は特に，キャリア周波数オフセットのブラインド推定の研究を進めた．その結果，レイリーフェージング伝送路において，OFDM方式における従来のブラインド推定法よりも優れた推定性能が得られることを明らかにした．この成果については，論文（レター）として発表した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和４年度は主に以下の事項を達成した．研究全体としては下記1,2に示すとおり研究が進んでいると言えるが，下記3に示すように，本方式の性能改善につながるプリコーディング行列のパラメータ設定については検討の余地があると考えている．
1. Zadoff-Chu系列に基づくプリコーディング行列の構造の解析を進めたことにより，プリコーディング処理のための計算に高速フーリエ変換のアルゴリズムが応用できることを明らかにできた．プリコーディングにかかる計算量の削減は本方式においても解決すべき課題であるため，これが解決できたことになる．さらに，副次的な研究成果として，プリコーディング処理とOFDM変調処理を統合的に処理できる可能性を見出すことができた．
2. プリコーディング処理に用いる行列として加重分数次フーリエ変換で用いられる変換行列の利用を想定し，キャリア周波数オフセットをブラインド推定する研究を進めた．特に，OFDM方式における従来のブラインド推定法との性能比較を行ったところ，レイリーフェージング伝送路において，従来の推定法よりも優れた推定性能が得られる場合があることを明らかにできた．さらに，従来の推定法と加重分数次フーリエ変換行列を用いる本方式を組み合わせた場合に，より広い範囲の周波数オフセットを推定できる可能性があることが分かった．
3. 本方式では，互いを弁別しやすい複数のプリコーディング行列を使用することによって通信性能の改善が図れる．この目的を達成するために本研究では，プリコーディング行列を構成するZadoff-Chu系列の生成パラメータの調整を行ってきている．プリコーディング行列に及ぼすパラメータの影響はある程度解析できている状況にはなっているが，本方式の通信性能の改善につながるかどうかの調査が十分にはできていない状況である．
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| Strategy for Future Research Activity |
令和５年度は、令和４年度までの研究成果を踏まえ，主に以下の事項に取り組む．
1. 本方式では，互いを弁別しやすいプリコーディング行列の生成が課題となっている．令和５年度も引き続き，Zadoff-Chu系列の生成パラメータの調整を行い，弁別がしやすいプリコーディング行列の生成についての研究を進める予定である．また，生成したプリコーディング行列を用いて送受信のシミュレーションを行い，本方式で達成できる通信性能（情報伝送効率と誤り率特性など）を明らかにする予定である．
2. Zadoff-Chu系列に基づくプリコーディング行列の構造の解析を進めたことにより，副次的な研究成果として，プリコーディング処理とOFDM変調処理を統合的に処理できる可能性を見出せている．令和５年度はこの点に関する研究を進展させ，統合した上記の処理に要する計算量を理論的かつ定量的に解析する予定である．また，Zadoff-Chu系列を用いるプリコーディング処理が，OFDM信号のピークを低減させる理由について，その原理的な説明もできるものと考えている．
3. これまでの研究成果をまとめ，学会発表や論文執筆を進める予定である．
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| Causes of Carryover |
令和４年度においても新型コロナウィルスの流行が続いていたため，令和４年度開催の学会・研究会のいくつかはオンライン開催になった．そのため，当初予定していた出張旅費の使用が少なくなり，令和５年度での使用を申請した．これについては，出張旅費の他，実験設備の購入や，論文誌投稿費用などに充当する予定である．
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