2023 Fiscal Year Annual Research Report
高次・高安定・可変位相補償器の最適設計と高品質通信の実現
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19K04379
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 登 東邦大学, 理学部, 教授 (00237041)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 通信信号 / 非線形位相 / 位相補償器 / 2次錐計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
ディジタル通信において、非線形位相特性をもつディジタル通信路は通信信号の波形を歪ませるため、通信の忠実度が損なわれる。従って、通信路の非線形位相特性の補償を行う位相補償器を設計し、それを非線形位相通信路に縦続接続し、位相補償を行う必要がある。通信路の非線形位相特性を補償することにより、縦続接続後の通信路全体の位相特性が近似的に線形位相になり、通信信号の波形歪みを回避することができる。本研究の目的は非線形位相特性の補償を行うための全域通過可変位相補償器を設計することである。
2023年度の研究では、非繰り返し型2次錐計画設計法を開発し、設計例を用いてその有効性を実証した。本設計法では、まず与えられた位相設計仕様に基づき、位相補償器の理想周波数応答を導出する。次に、位相補償器の実際の周波数応答と理想周波数応答の差(周波数応答の複素誤差関数)の最大絶対値を最小化する。周波数応答の複素誤差関数の最大絶対値を最小化するため、この最小化問題を2次錐計画問題に近似し、非繰り返し型2次錐計画法で最適解を見つける。しかし、この非繰り返し型2次錐計画設計法は位相補償器の良い係数初期値の生成に依存する。良い初期値を見つけることができれば、この設計法は繰り返し最小化を必要とせず、設計に要する計算量が低減される。全域通過位相補償器の具体例を用いて本設計法の有効性を実証した。また、本研究期間全体を通じて、様々な誤差関数を導出した。更に、様々な誤差関数に基づく最適化手法を開発した。
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