2019 Fiscal Year Research-status Report
直交多元接続との連携による非直交多元接続方式の特性改善に関する研究
Project/Area Number |
19K04381
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前原 文明 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80329101)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | NOMA / OMA / リソース割当て / ユーザ要求 / システムスループット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,第5世代移動通信システム(5G)の高速・大容量化の鍵を握る非直交多元接続(NOMA)を採り上げ,NOMAだけでなく直交多元接続(OMA)の組み合わせにより,システム容量の向上を図る方式を提案するとともに,その有効性を明らかにするものである. 本年度は,NOMAが有する,ユーザ間のチャネル利得が小さい場合にOMAと比較してシステム容量が低下するといった問題を克服すべく,NOMA単独だけでなく,OMA単独やNOMAとOMAを同時利用する複数のリソースパターンを各ユーザのチャネル状態に応じて適切に選択する方式を提案するとともに,その有効性を計算機シミュレーションにより評価した.具体的には,まず,無線伝搬路として周波数非選択性を想定し,ユーザ間のチャネル利得差が小さい場合におけるNOMAの問題点を定量的に明らかにした.さらに,無線伝搬路として,周波数非選択性に加え,周波数選択性を想定し,各セル内にユーザが一様に分布したときの提案方式のシステム容量特性をNOMA単独あるいはOMA単独の場合を比較対象にとって計算機シミュレーションにより取得・評価した. 特性評価の結果,提案方式は,伝搬路の周波数選択性の有無やセル内で一様のユーザ分布といった基本的なモバイルネットワークのシナリオにおいて,NOMA単独,OMA単独,NOMAとOMAの同時利用といった複数のリソースパターンを適切に選択し,システム容量を向上できることがわかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は,研究実績報告に記載した通り,現在まで研究計画書に記載した通りに進捗しており,概ね順調に進展しているものと判断できる.特に,本年度,本研究課題を進めていく上で最も基盤となる,無線伝搬路を想定し,複数ユーザが同時に送受信を行うことを想定したNOMAの信号処理シミュレータを構築するとともに,NOMAの問題点の把握と基本的な特性評価が完了できたことが最大の成果であり,これは今後の技術提案を含めた検討を加速させる上で大きな意義を有するものと考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度,検討を行ったNOMAにおけるユーザ間のチャネル利得差が小さい場合の伝送特性劣化の検証とNOMA及びOMA の同時利用の適用効果に関する基礎的な知見をベースに,多様なユーザ要求スループットを考慮したリソース割当てに関する技術提案を行い,その有効性を計算機シミュレーションにより評価する.具体的には,以下の項目について研究を進める.
(1) 多様なユーザ要求スループットを考慮したリソース割当ての有効性評価 5G以降のモバイルネットワークでは,多種多様な無線アプリケーションの実現が見込まれる点に鑑み,各ユーザのチャネル状況だけでなく,多様な要求スループットを考慮したときのリソースパターンの選択法を検討するとともに,その有効性をNOMA単独及びOMA単独を比較対象にとって,計算機ミュレーションにより評価する. (2) 提案方式へのユーザスケジューリングの導入・評価 実際のシステムでは,多元接続方式の上位にユーザスケジューリングが適用される点に鑑み,公平性を担保するProportional Fairness(PF)を取り上げ,それを考慮したときの提案方式のシステム容量特性を評価する.このようなユーザスケジューリングを考慮した本特性評価により,提案方式とユーザスケジューリングが総合特性に与える影響を明らかにすることができるものと考えられる.
|
Causes of Carryover |
本年度,研究経費として想定していた信号処理シミュレータ構築について,その基礎的な部分がこれまで研究室内で構築してきた資産の有効活用と工夫により可能となったこと,また,消耗品(プリンタトナー)と学会発表のための旅費の支出について,それぞれ,プリンタトナーの切り替えタイミングが年度内に合わなかったこと並びに学会発表の開催地が近距離圏内となったことから,次年度使用額が生じている.
(使用計画) 次年度使用額については,信号処理シミュレータ構築の高度化がさらなる研究推進を図る上で重要となるものと考えられることから,次年度の研究経費の一部として,その構築費用を支出する予定である.また,消耗品(プリンタトナー等)及び学会発表のための旅費の支出が次年度生じる予定である.
|
Research Products
(1 results)