2020 Fiscal Year Research-status Report
空間固有モードを活用した通信、センサー用デバイスの研究
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19K04387
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
斉藤 昭 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 客員教授 (80536920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / アンテナ理論 / MIMO / 軌道角運動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
ループアンテナアレイを用いたOAM通信方式の研究では磁気量子数の符号(±m)の自由度(ノーマル/直交モード)を活用し多重度を2倍にする方式の性能改善を図った。自由空間での伝搬ではOAM波はその次数を保持するが、給電ケーブルによる散乱で信号波と干渉波の比(SIR)が悪化していることを解明した。その対策として、アンテナの適切な位置に抵抗を配置することで、信号波への影響は小さくかつ干渉波は大幅に抑制できることを見出した。また試作を行い、SIRが9.7dB(6.2dB改善)と良好な結果を得た。センサー応用の研究に関しては、ループアンテナアレイに遠方から平面波が入射した場合の、受信電流の解析値を昨年度導出したので、この逆問題である受信電流から到来方向を推定する方法を検討した。この受信電流はループの中心軸をZ軸とした場合のφ方向に関して次数mごとに異なるので、中心軸の周りに回転した場合の受信電流を次数ごとに評価し、参照信号との積を回転角で積分して到来方向のφmを抽出した(誤差±1度以下)。 空間には、上記mの自由度に加え軌道角運動量量子数(l)の自由度が存在し、この自由度を使うと飛躍的な通信多重度、センサー情報の超高密度化が可能となる。球面上の電流分布を正弦関数とルジャンドル陪関数で展開し、ベクトルポテンシャルを用いて放射電磁界を導出した。その電磁界を球面座標系の固有モードで展開することで、電流分布と電磁界固有モードの展開係数間の関係を表す行列を導出し、逆行列を用いて(l,m)固有モードを生成する2次元電流分布の解析式を導出した。例としてm=1のみでも、16種類の電流分布を用いることで、l=0~7,TE/TM波、ノーマル/直交モード計32種類の(l,m)固有モードが生成でき、ループアンテナを用いたOAM通信 の32倍の多重度が原理的には可能なことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでは概ね当初計画通りに進捗している。なお(l,m)単一モードを生成するアンテナ構造に関しては、当初はループアンテナで構成できる可能性もあると考えていたが、実際に電流を求めてみると極めて困難なことがわかり、微小電流を実現するアンテナをアレイ化する手法に一本化して検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進捗しており、来年度も当初計画に従い研究を進める。
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Causes of Carryover |
学会がウェブ開催になった等で旅費が少なくなった。次年度は学会参加や試作を増やして、目標以上の成果を目指す。
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