2023 Fiscal Year Annual Research Report
低緯度地域における流星バースト通信実験に基づく通信性能の解明と通信路のモデル化
Project/Area Number |
19K04391
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
和田 忠浩 静岡大学, 工学部, 教授 (00303529)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流星バースト通信 / 低緯度地域 / 雑音特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、低緯度地域での流星バースト通信(MBC)の利用可能性の調査のため、インドネシアの大学の協力によりMBC実証実験を行っている。本実験では、通信路のモデル化で必要となる低緯度地域の雑音環境ならびにパケット伝送状況について調査を行った。観測期間を2023年5月から8月とし、その期間の雑音を1時間毎に測定した。その結果、リモート局の雑音の最低値がー120dBm,最大値がー98dBmであり、日中は雑音電力が少なく、夜間の雑音電力が大きい日変動の様子が観測された。 また雑音の季節変動も観測され、5月末から6月中旬の間は雑音変動が比較的落ち着いている一方で、他の期間では変動が大きくなっている様子が分かった。過去の気象学的な観測より、赤道地域では夜間の空電現象により10MHz 帯での空電の影響が夜間の雑音増加に寄与しているとの結果があり、本課題でもその影響が雑音変動の一因と考えられる。パケット伝送状況を確認すると、他地域では通常、流星の発生数が多いとされる明け方から午前中に多くのパケット伝送が見られるのに対して、本実験では日中(午前から午後に掛けて)に多くのパケット伝送が見られた。この結果より、流星の発生数よりも雑音がパケット伝送に影響することが考えられる。雑音環境の観測については、中緯度地域である沖縄でも実施した(2023 年10月)が、インドネシアで見られたような雑音の日変動が観測されなかったため、インドネシア実験で観測された雑音の日変動が赤道地域特有の現象である可能性が示唆される。
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