2020 Fiscal Year Research-status Report
A Routing Method Using Nonlinear Dynamical Theory for Large-scale Ride-share Systems
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19K04395
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 貴幸 日本工業大学, 基幹工学部, 准教授 (80579607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 隆文 日本工業大学, 先進工学部, 准教授 (70579771)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク / 経路制御 / シェアリング / ネットワークと混雑 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題である大規模ライドシェアシステムに対する非線形力学系理論を用いた経路制御手法では,ネットワーク上を移動する物体に対する,効率的な経路制御手法の提案がその遂行の肝となる.この実現に向けて2020年度は,ネットワーク上を流れる粒子の輸送について,その混雑を可能な限り回避する経路制御法として,記憶効果を用いた手法を提案した.ネットワーク形状として一般的に用いられるスケールフリーネットワークや,平均頂点間距離が短く,かつクラスター構造を有するスモールワールドネットワーク,さらに,枝の接続に規則性がないランダムネットワークなどの,種々の形状を有するネットワークに対して数値実験を行なった結果,形状が不規則なネットワークに対して本提案手法は有意な性能を有することを計算機実験により明らかにした.これまでの手法の多くは,混雑を回避する経路制御を行うために,隣接ノード間で混み具合などの情報交換を必要とする場合が多い.一方,本提案手法は,各ノードのみに保有される記憶効果を用いることで,混雑を回避する制御を行う.つまり,ノード間での情報交換のない経路制御を行う.このことから,ネットワークのサイズに依存せず,小規模なものから大規模なものまで,どのようなネットワークの規模でも手法の適用が可能である.また,非線形時系列解析で用いられるサロゲート法を用いた仮説検定法により,経路制御の有効性を解析した.サロゲート法により生成される時系列では,記憶効果に含まれる,平均,分散,標準偏差などの一次統計量や,自己相関などの二次統計量のみが保存される.この手法との比較実験を行なった結果,提案手法の性能が有意であることが明らかになった.すなわち,記憶効果に内在される高次元の統計量が,混雑の解析に有効であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の研究成果として,下記の2つが挙げられる.(1)ネットワーク経路制御手法として記憶効果を用いた手法の提案と解析,(2)複数の属性を有する乗合タクシーに対する最適乗合組合せ決定法の提案.まず一つ目については,種々のネットワーク統計量を有するモデルを用いて手法の評価を行い,提案した経路制御方法の有効性を明らかにした.2つ目については,男女間や飲酒などの属性を有する顧客を対象として,乗合タクシー最適化問題に関する手法を提案した.これらの成果は,本研究課題に関連する研究課題であり,ネットワークの経路制御や顧客の属性などに対する知見を与えるものである.今後は,得られた成果を反映し,ライドシェアをモデル化したネットワークを提案する予定である.以上の研究成果については,電子情報通信学会の各研究会や大会,またPhysicaAや2020 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applicationsなどの国際会議で発表を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度では,従来までに使用されてきた通信網モデルをライドシェアネットワークへと応用し,発生地と目的地から構成さるクラスター集合を予め作成しておくことで,乗合グループを高速に決定する手法を提案した.また,2020年度では,従来の通信網モデルを対象として記憶効果を有する新たな経路制御手法を提案し,統計的仮設検定によりその有効性を確認している.一方,顧客に対して複数の属性を割り当てた場合の乗合タクシー最適化問題に対する手法の提案を行なっている.これまでの知見から,今後は,複数の属性を有する乗合グループを対象として,ライドシェアシステムの経路制御手法を提案する予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルスの影響により,研究会や国際会議への参加が不可能となったためである.今後も同様の状況が続くことが予想されるため,次年度予算については,引き続き,計算機実験を進めるにあたり,実験環境の構築,または結果を報告するための論文掲載料などに充てる予定である.
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Research Products
(2 results)