2023 Fiscal Year Annual Research Report
等比的に広範囲レベルの信号検出を可能とする多チャンネルランダムノイズ発生器の開発
Project/Area Number |
19K04415
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
高田 明雄 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 教授 (40206751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ノイズ / 積分発火回路 / 同時発火 / 不感帯 / 神経細胞モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ランダムノイズを利用して微弱信号を検出する確率共鳴現象(SR)は例えばヒトの体制知覚の向上にも応用できる,すなわち微弱な信号検出に有効である.R5年度は前年度に引き続いて神経細胞の簡単なモデルとして知られる積分発火回路の外部ノイズによって誘発される発火動作,さらに二つの回路間における同時発火について調べた.神経細胞は幅の狭い電気パルス(インパルス)によって信号のやり取りをしている.これをパルス幅の狭いデジタル信号とみなすことで,積分発火回路とノイズを用いた信号の検出が可能と考えられる. 一方,この回路には印加されるノイズによって好ましくない発火も誘発されることが従来研究で知られた欠点でもあった.そこで,神経細胞が持っている特徴である『不応期』に相当する『発火直後から強制的に一定時間発火が起こらない仕組み』を導入した.これを不感帯と呼ぶ.従来の積分発火型回路に不感帯を組み込むことによって,二つの積分発火回路の同時発火がどのようになるのかを数値シミュレーションならびに回路実験から考察した. その結果,回路の自然発振周期の半分以下の不感帯幅では回路動作にほとんど影響がなかったのに対し,およそ8割程度になると同時発火が強調(エンハンス)されることがわかった.これは,好ましくない単独発火を抑制できた結果でもある.数値シミュレーションからは二つの積分発火回路の同時発火率は100%に近づけることが可能であるが,そのためには,回路パラメータではなく不感帯幅のミスマッチを最小限にすることが効果的であることも明らかにできた.またその他の要因としては,用いたノイズの統計的な性質によって,同時発火率が大きく左右されることもわかった. 最適な不感帯幅は,回路パラーメータによって導きだすこともでき,積分発火回路の信号検出能力を向上させるための基本的な要因を明らかにすることができた.
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