2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel measurement method for plasma temperature
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19K04424
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山家 清之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90452474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プラズマ温度 / プラズマ圧力 / 熱エネルギー伝搬 / プラズマ発光 / デューティ比 / 連続スペクトラル放射解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新たに提案する解析手法を用いて、実験によりプラズマの温度から電子温度とイオン温度をそれぞれ導出できることを試みることを目的としている。アークプラズマのように電子温度及びイオン温度が高温である場合には、電子とイオン間の熱エネルギーのやりとりが頻繁に発生することで電子温度とイオン温度が等しい熱平衡状態となるため、温度の導出上、それぞれの温度を分離し切り分ける必要は無く、プラズマ温度≒電子温度≒イオン温度となる。一方、グロープラズマの場合には電子温度とイオン温度は異なるため、それぞれの温度を分離して導出する必要があるが、観測されるプラズマの温度から電子温度とイオン温度を分離して導出する解析手法は確立されていない。そこで、プラズマの発生周期を変化させてプラズマの温度を計測することにより、その時間平均温度から電子温度とイオン温度を導出することを試みた。 分光器で対象となる物体を観測する時間と、対象物が存在する時間が一致しない場合、分光器で観測する全時間に対して、対象物が存在しない時間が含まれることになる。大気圧状況下において、プラズマとして発生する電子とイオンは、電子は動くことができるが、イオンはほとんど動くことができない。このことから観測点において、プラズマが存在する時間ではプラズマとして電子及びイオンが観測され、一方、プラズマが存在しない時間ではイオン及び中性ガスが観測されることになる。従って、プラズマの存在有無の比率によって、導出される時間平均温度は異なることになる。その結果、電源の繰り返し周波数の増加により、プラズマの存在回数が増加するため、時間平均温度は繰り返し周波数に線形依存することになる。実際に、分光器の露光時間とプラズマの発光時間の比率となるデューティ比を考慮することにより、プラズマの電子温度とイオン温度を導出することが可能となることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に計画していた、周波数を連続変化させることが可能な高周波高電圧電源を用いて、プラズマの発生周期を変化させて、プラズマの時間平均温度の計測を実施した。その導出される時間平均されたプラズマ温度の値は、予想とは異なりプラズマの発生周期に線形依存しないことが確認された。そこで、時間平均されたプラズマ温度とプラズマの発生時間を合わせて解析することにより、発生周期に対する依存性を詳細に調べることを実施した。その結果、導出されるプラズマの時間平均温度に対して、プラズマの発生時間を考慮することにより、プラズマの発生周期に対してプラズマの時間平均温度が線形依存する周波数領域を導き出すことに成功した。更に、導出される電子温度に対して、連続スペクトラル放射の解析から求まる電子温度との比較を行うことにより、本計測から導出される電子温度の精度を検討した。その結果、本計測から求まる電子温度と連続スペクトラルから求まる電子温度はおおよその一致を示したため、本計測によって求まる電子温度及びイオン温度の正確性を得ることができた。また、ヘリウムガス流量に対する依存性及び背景ガス圧に対する依存性を確認した。加えて、プラズマ電流を計測するために、新たに電流プローブ及びデジタルオシロスコープを整備することにより、プラズマ電流のドリフト速度の計測を実施した。プラズマ電流から導出される電子密度と連続スペクトラル放射解析から求まる電子密度を比較することにより、それぞれの計測手法における妥当性を検討した。その結果、各導出された値の差は約2割程度であることから、計測手法としての妥当性を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマの発生には様々な希ガスや反応性ガスが用いられている。用いるガスによってプラズマの密度及び温度特性は変化する。そこで、既存の実験装置をヘリウムガス及びアルゴンガス、窒素ガスによってプラズマを発生することが可能となるように整備する。この熱伝導率が異なるガス種においてプラズマを発生させ計測を実施することにより、対象となるプラズマの発生状況が変わっても、時間平均されたプラズマ温度から電子温度とイオン温度が導出可能であることを明らかにする。また、プラズマの特性はその密度と温度のかけ算である圧力(密度×温度)で示される。既に確立したプラズマの密度及び電流計測手法を基に、今回の新規開発した計測手法と合わせて、申請者が提案しているプラズマの圧力平衡解析を行い、理論及び計測の両面から、プラズマ温度の値がどのようなメカニズムによって決まるのか明らかにする。 特にプラズマの特性を示すプラズマ電流の挙動を計測し、異なる計測から求まるプラズマの温度及び密度を比較検討することにより、各計測手法における測定精度の向上を試みる。そして、導出されたプラズマの特性値を基に、プラズマの熱エネルギーの伝搬特性を明らかにすることを試みる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた論文掲載費の請求が遅れたため、残額を次年度に繰り越した。
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Research Products
(7 results)