2019 Fiscal Year Research-status Report
Cross-modal signal estimation by coupled dictionary learning and its aaplication to non-contact sensing
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19K04429
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
中静 真 千葉工業大学, 工学部, 教授 (10251787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機械学習 / 辞書学習 / 信号分離 / 信号推定 / 雑音除去 / スパース信号処理 / 非接触センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,複数の異なったセンサ入力を用いて抽出を目的とする信号のモデルを学習,その後,学習したモデルを使って信号抽出を行うクロスモーダル信号推定法の提案と,そのアプリケーションの提案を目標としている.本年度は,信号のモデル学習のための新しいコスト関数の導入と,呼吸センサ・ドップラーセンサと異なるセンサ間でのモデル学習と信号抽出の検討を行った. 信号モデルは,単一の信号が複数の要素信号の和から構成され,それぞれの要素信号が疎に非零の係数が現れる信号源と,畳み込み辞書の畳み込みにより生成されると仮定するモデルである.抽出の対象となる信号の畳み込み辞書を学習用データから学習するために,疎性(スパース性)の制約を係数に課して学習を行う.この制約に関して,L1ノルムを用いることが一般的であったが,スパース性を向上させ,より分離精度を向上させるために,さらに厳しい疎性に関する制約を用いるためL0ノルムの適用を検討した.実際に計算機上で問題を解く場合に,安定にかつ,高速に最適化を実現するためにL0ノルムを連続微分可能な関数に近似した平滑化L0ノルムを適用,単純な勾配降下によりL1ノルムより高い精度で信号分離を実行できることを示した. 呼吸センサおよびドップラーセンサへの適用では,呼吸によるセンサ信号の変動を検出することを目標として,学習時にドップラー信号と呼吸センサ信号で係数のグループを作り,このグループの発生にスパース性を課すグループスパースによる畳み込み辞書の学習を検討した.この実験では,呼吸による呼気の温度変化を信号として,この信号と人体の表面の変動と相関の高い信号成分を抽出することを目標とした.実験結果より,呼気の信号を辞書学習に加えることで,より呼吸信号と相関の高い分離信号が抽出できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クロスモーダル信号分離で用いる畳み込み型辞書学習のために平滑化L0ノルムをコスト関数として利用することを提案した.この平滑化SL0ノルムは,微分可能な関数であり,既存の勾配射影法による最適化問題の解法が適用できる単純なアルゴリズムであるものの,反復回数が多く計算時間がかかる問題点が残っている.また,現在,アプリケーションとして検討を進めているドップラー信号は複素信号であり,さらに,呼吸信号とのグループスパース性への対応が必要である.さらに,パラメータの設定等の問題も残っている, ドップラー信号への応用では,いくつかの実験例では,良好な結果を得ているものの,実験の数が少なく信頼性の高い実験結果を得るためには,より多くの測定と実験が必要である.また,ドップラー信号は,変位をにより変調を受けた信号であるものの,それとの相関を議論している呼吸信号は変位に比例関係にある信号である.これら,ドメインの異なる信号間での相関およびグループスパース性を議論する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の目標は,信号の推定精度向上のために,辞書学習のためのコスト関数の提案と,その現実的な計算法の検討および,ドップラー信号からの呼吸成分推定のための新しい畳み込み辞書の学習法の提案である.辞書学習のためのコスト関数の提案では,今年度に検討した平滑化L0ノルムを拡張し,複素数およびグループスパース性を含めることを検討する.この結果を,現在,応用を進めているドップラー信号と呼吸信号のクロスモーダル信号推定へ応用する.ドップラー信号からの呼吸信号推定の問題では,呼吸に対応するドップラー信号成分を学習するために,呼吸信号から仮想的に人体表面の変位を生成,その変位から,予想されるドップラー信号を生成し,これを畳み込み辞書学習に適用することを検討する.二つの信号のドメインを揃えることで,より強い相関を持つ成分だけが抽出されることが期待できる.この推定のために,呼吸信号から変調信号を生成するためのパラメータの推定法等の検討,さらに,新規に提案するコスト関数の導入から,呼吸信号の推定精度の向上を図る.
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Causes of Carryover |
理論面での研究が中心となり,実験機材等の購入が少なかった.また,実験に伴い計上していた人件費・謝金等の使用がなかった.次年度では,今年度に得られた成果をもとに,実験を行い,応用面での有効性を検討する予定である.
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Research Products
(2 results)