2019 Fiscal Year Research-status Report
非協力・利己的マルチエージェント系のための制御エージェント設計
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19K04440
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金澤 尚史 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (90452416)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | システム工学 / 制御工学 / マルチエージェントシステム / 集団ゲーム / 非協力ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,これまで利己的マルチエージェント系に対する制御器の設計問題としてエージェント集団とは別に扱ってきた制御器を利己的エージェント集団と相互作用する制御エージェントととらえなおすことで,システム全体を一つのマルチエージェント系として統一的に扱える設計法を確立することを目的とする. 本年度は,多数のエージェントが,エージェント数に対して比較的少数のタスクを協力して実行する際に,自律的に利己的に自身の実行するタスクを決定することで,結果として大域的に最適なタスク割当を実現するタスク割当法の提案を行った.この手法では,複数種類の能力の異なるエージェントの存在を想定し,タスクの性質を表すベクトルとエージェントの能力を表すベクトルの内積をもとに,大域的なタスク割当の性能を評価する評価関数を構成し,この評価関数をポテンシャルとして持つポテンシャルゲームとなるようにエージェントの利得関数を設計した.エージェントが多数であることを考慮し,個々のエージェントを区別すること無く,各タスクを実行するエージェントの割合という集計的な情報のみ用いることで情報の管理を容易にするとともに,各エージェントの実行するタスクもエージェント自身が選ぶことで,単純で分散的なルールに基づき最適な割当を実現できる. また,価値観の異なるエージェントが共存し,各エージェントがその違いを認識できない状況において,目標とする戦略分布を実現するための補助金配分法について検討し,積分器を導入することで,いくつかの条件のもとではあるが,目標状態を定常偏差無く実現する条件を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各エージェントの自律的行動に基づく最適なタスク割当法を提案し,エージェントを制御器とするマルチエージェントシステムの設計法の最も基本的な成果を得ることができたので,概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに提案した,総額をパラメータとし各戦略をとるエージェントに対して目標状態に依存した配分率で配分することで目標状態を安定化する制御器を,補助金配分を通して利己的エージェント集団と相互作用するエージェントととらえなおすことで,補助金を用いた目標状態の安定化制御器の,制御エージェントとしてのモデル化と解析に取り組みたい.
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Causes of Carryover |
本年度は理論的な計画を中心に実施したため,当初計画していたシミュレーションによる検証が遅れ,それに使用する計算機等の購入が当初予定より遅れてしまった.また,年とまつに新型コロナウイルスの影響で出張計画等に変更が生じた.次年度使用分は,計算機の購入その他に当てる予定である.
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