2020 Fiscal Year Research-status Report
確率システム理論に基づく年齢・空間構造を考慮した感染症抑制戦略とその応用
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19K04442
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Research Institution | Yamaguchi Gakugei College |
Principal Investigator |
石川 昌明 山口学芸大学, 教育学部, 教授 (30201916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感染症モデル / 確率システム / 年齢構造 / 平衡解 / 安定性解析 / リアプノフ定理 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナ感染症の流行が拡大しているため、より実際に即した感染症モデルを構築し、新型コロナ感染症を含む種々の感染症の流行抑制に寄与することを目的に以下の研究を実施した。 (1)年齢構造を考慮した確率SVIRモデルの安定性解析:感受者、感染者、回復者、ワクチン接種者の4個体群を対象に回復率に不規則な揺らぎを導入した確率感染症モデルを提案した。さらに、平衡解の安定性解析を行い、平衡解が安定となる十分条件を導いた。この十分条件を満足するようにワクチン接種を実施すれば感染症の流行を終息させることが可能であることを理論的に示し、シミュレーションによって定量的にも明らかにした。 (2)不顕性と再感染を考慮した感染症モデルの確率安定性:コロナ感染症の特徴でもある不顕性感染(感染しているにもかかわらず,臨床的に確認しうる症状を示さない感染) と再感染を考慮し,さらに回復率に不規則な揺らぎを導入した確率感染症モデルを提案した.提案した感染症モデルに対する安定性解析を行い,シミュレーションにより本論文で導いた定理の有効性を検証した. (3)不顕性感染とワクチン効果減衰を考慮した確率感染症モデルに対する安定性解析:感受者,不顕性感染者,感染者,ワクチン接種者の4個体群を対象にワクチン効果の減衰を考慮した確率感染症モデルを提案した。確率リアプノフ定理を応用し、平衡解が安定となる十分条件を導いた。上記(1)と同様にこの十分条件を満足するようにワクチン接種を実施すれば感染症の流行を終息させることが可能であることを理論的に示し、シミュレーションによって定量的にも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
確率感染症モデルの数理解析およびシミュレーション解析はおおむね順調に進行しているが、年齢構造や空間構造の導入した感染症モデルの解析がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、流行が世界的規模になり、その流行抑制が急務となっている新型コロナ感染症の解析に重点を置き、今後の研究を推進していく予定である。 まずは年齢構造や空間構造を有しない確率感染症モデルを構築し、解析を行う。その後、年齢構造や空間構造を導入した確率感染症モデルに対する数理解析・シミュレーション解析を行う。
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Causes of Carryover |
性能の向上したシミュレーション用PCが次年度購入可能になるため。 2021年度にCore-9搭載のシミュレーション用PCを購入する計画。
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Research Products
(8 results)