2023 Fiscal Year Research-status Report
切り替えシステムに対する幾何学的手法とロバスト性問題に関する基礎的研究
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19K04443
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
大塚 尚久 東京電機大学, 理工学部, 教授 (30185318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不変部分空間 / ロバスト性 / Impulsive 線形システム / モデルマッチング / Positive線形切り替えシステム / 感染症数理モデル / Positiveオブザーバ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,以下の研究実績が得られた. (1) Polytopeの意味で,不確かさを有するImpulsive線形システムに対して,いくつかのモデルマッチング問題を考察するために必要な「ロバスト不変部分空間」とその性質が調べられた.さらに,モデルマッチング問題が解けるための条件が与えられ,また,安定性を考慮したモデルマッチング問題が解けるための条件についても調べられた.さらに,数値例によって結果の検証を行った.得られた結果は,Nonlinear Analysis: Hybrid Systemsという国際的に評価の高い学術雑誌に掲載された. (2) 区間の意味で,不確かさを有する連続時間系および離散時間系の両方のPositive線形切り替えシステムに対して,Reduced-Order区間Positive オブザーバが存在するための条件とその構成アルゴリズムが与えられた.さらに,数値例によって結果の検証を行った.得られた結果は,Int. J. of Control, Automation and Systemsという国際的に評価の高い学術雑誌に掲載された. (3) 感染症数理モデルとしてSEIQRSモデルを提案し,Positiveオブザーバ理論を用いて,市中感染者数などの状態変数が推定できるための条件について調べられた.得られた結果は,The 2024 Australian & New Zealand Control Conferenceなる国際会議にて発表し,筆頭著者である大学院学生は,本会議にてBest Student Paper High Commendation Awardを受賞した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績(1)については,イタリアの共同研究者(E. Zattoni教授,G. Conte教授 and A.M. Perdon教授)らと電子メールにて研究を進めてきたものであり,結果的に国際的に評価の高い学術雑誌(Nonlinear Analysis: Hybrid Systems)へ掲載された.また,研究実績(2)については,ポーランドの共同研究者P. Ignaciuk教授が本学に来校した際に,貴重なアドバイスを頂き,結果的に国際的に評価の高い学術雑誌(Int. J. of Control, Automation and Systems)へ掲載された.研究実績(3)については,大学院学生との共同研究で,これまでの研究成果が感染症数理モデルに応用できるのではないかと考え,研究を進めてきたものである.得られた結果は,Best Student Paper High Commendation Awardを受賞した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果の応用研究として,最近「新型コロナウイルス感染症数理モデル」と市中感染者の推定問題に興味を持ち始めた.その関係で,昨年度得られた研究成果をさらに発展させたい.具体的には,市中感染者数などのパラメータは,一般的に不確かさを有していることから,そのパラメータ誤差に対してロバストな推定値がえられるためのPositiveオブザーバが構成できるための条件について研究を行う.さらに,本申請課題の研究において,残された問題についても引き続き研究を遂行する.
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Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍の中,海外の共同研究者との対面による打ち合わせや国際会議への参加も1回のみで,旅費の支出が少なかった.そのために,残った研究費を次年度に繰り越した.しかしながら,昨今の円安の影響で,国際会議への参加がどの程度実現できるのかが不安材料ではあるが,有効に使用したいと考えている.
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