2019 Fiscal Year Research-status Report
部分空間Prony法に基づく信号成分の同定に基づく匂いセンシングの実現
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19K04445
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹井 義法 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30350755)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ガスセンサ / 部分空間法 / Prony法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高機能ガス・匂いセンサの開発を目的に,半導体式ガスセンサをターゲットに,これまで申請者らが提案している部分空間Prony法によるガスセンサ応答からの特徴抽出法の改良と,その逐次アルゴリズムの開発によって,多入出力系とみなせるセンサアレイから得られるデータの一括処理が可能な匂い識別を実現することを目指すものである.リアルタイムな特徴点抽出,特性ガス成分のみの応答をフィルタリングする信号分解を実現することを目的に,ガスセンサ応答モデルのパラメータ推定に基づき各信号成分のゲインを推定することで,高精度に被検ガスや混合ガスである匂いの各成分の濃度推定の実現を目指している. 本年度は,部分空間Prony法の同定アルゴリズムの数値シミュレーションによる検討を進めた.部分空間Prony法において,近似する出力信号は差分を取ることで実測データのドリフト成分を除去する.この差分間隔と部分空間法における補助次数の選択が,信号成分の分離に影響し,センサ応答のモデルの適合率が変化する.そのため,モデルの適合率のみを持って,ガス成分の推定に意味のあるモデルパラメータを得ることは必ずしも容易ではない.そこで,実際に使用する半導体式ガスセンサの構造をふまえ,想定されるガス吸着過程に基づいて一定の選択基準を設けることで,センサ応答を近似する際に補助次数等のパラメータを変化させて得られる複数のモデルパラメータセットから,ガス種に依存したセンサ応答と測定系の特性に起因するセンサ出力の変動を分離できる可能性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基本となる部分空間Prony法に対して,実測データへの適用における課題をシミュレーションを通じて検討した結果,課題解決の方針が明確となった.今後,複数成分のガスに対する評価,測定系に起因するドリフトやセンサへのガス導入時に生じるオーバーシュート等,実際の測定環境に存在するセンサ応答モデルの推定に影響する要因の評価を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,アルゴリズムの逐次化を中心に進めていく.また,実験系の構築については,試作した測定回路で実空間での計測を行った一方,サンプルレートなどハードウェアの選定に再検討が必要な部分があり,アルゴリズム開発と並行して,測定系の開発実装を進めていく.
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Causes of Carryover |
測定系の構築に関して,ガスセンサの選定を含め検討を行ってきたが,当初予定していたガスセンサのモデルと測定系の仕様に関して,再検討が必要が生じた.具体的には数値計算で必要となる,センサ応答に対するサンプリングレートを考えた場合に,予定していたガスセンサではハードウェア要求が高く,測定系を構築することは不可能ではないものの,ガスセンサのモデルを変更して対応する必要が生じたため,測定系の構築を次年度に実施する方向で調整した.
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