2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Selective Fishing System Based on Co-creation Field Principle
Project/Area Number |
19K04462
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (10259822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 耕治 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (40208955)
伊丹 伸 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 講師 (60212982)
三宅 修平 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (00200139)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共創場原理 / 魚群行動 / LED光 / レベルセット法 / 群行動モデル / 選択的漁法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,魚群が発現する共創的群行動について,個体行動を重畳した群全体が形成するメタオーダー行動モデルをレベルセット関数(LSM)に置き換える新しい数理モデリング法の構築を試み,LED光による選択的漁法に適用可能なコンピュータシミュレーション手法を開発することで,LED光を用いた漁法の産業応用の可能性を探ることにある.LED光を用いた漁具に対する魚群行動については,徳島県水産研究所による水槽実験データから抽出された論理データに共創場理論を適用して魚群行動モデルを構築する.そのLSM数理モデルの有効性をコンピューターシミュレーションを通じて検証することが目標となる. この目的に沿った令和2年度の研究計画に対する実績を以下に示す. 1.魚群行動パターンの変化を定量化するために,論理データにカオス・フラクタル解析を適用してクラス分けを試み,得られた実験データの分析結果から魚群行動の水槽実験の精度を上げるためにどのように拘束条件を設定するべきか検討できた.また,新しい光源として紫外線LEDによる魚群行動の観察をすることができ,新しい選択的漁法の可能性を見出すことができた. 2.共創場原理をベースにする計算機実験手法の新しい可能性を探るため,群集に与えるタスクの設定と行動モデルについて数値実験を通じて検討するとともに,複数のレベルセット法による魚群行動画像のキャプチャー実験から,参照マップ型のレベルセット法の有効性と,今回新たにリザバーコンピューティングによる新しいニューロサイエンス手法への応用可能性が確認できた. 以上により,研究計画の【フェーズ2】レベルセット魚群行動モデルの構築:フェーズ1で得られた結果を数理科学的かつ水産学的に吟味し,群行動パターンのレベルセット法によるコンピュータ計算技術を開発を部分的に達成できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症の全国的なパンデミックにより,所属する機関における研究活動はもちろんのこと,共同研究先である徳島県水産研究所における魚群行動実験や東京情報大学並びに日本大学との共同研究などすべての研究活動が大きく制限を受けた. 以上の結果,実データの取得・分析・検討や数理モデリング法の開発と実データとの比較検討などすべての研究プロセスが不十分となり,「共創場理論にLSM魚群行動モデル」を仮説・検証するタイムスケジュールが相当程度圧迫されている. しかしながら,数少ない公試実験により紫外線LEDによる新しい群行動パターンを見出すことができ,また群行動の画像解析の困難性を突破する新しいコンピューティング手法として,360°カメラによる3次元遊泳軌跡トラッキング手法とリザバーコンピューティングによる魚群行動の予測手法まったく新しいニューラルネットワークなどの新機軸の研究開発に着手できたことは特筆すべきことである.
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Strategy for Future Research Activity |
先の項目で遅延していることを補い,本研究をさらに深いレベルで達成するために今後取り組む研究計画を以下に示す. 1.実験データの質の向上:過去に行った魚群行動実験は,撮像システムの精度をかなり高精度化しても3次元遊泳をする魚の個体運動を精密にトラッキングすることは困難かつ得られたデータからの行動モデルの抽出は困難であった.今後は明らかになった困難性を極力排除した良質な魚群行動実験のプロセスや条件を再検討するとともに,新たに360°カメラ等の新システムを用いた水槽実験データの積み上げをしていく. 2.画像処理システムの品質向上:現在用いている魚群行動からの論理データ生成用画像処理プログラムは深度方向の魚体を補足することができないので,カルマンフィルタ手法のみならず,深層学習アルゴリズムやリザバーコンピューティングによる群行動予測システムを用いたまったく新しい高精度3次元画像処理アルゴリズムを開発する. 3.LSM魚群行動モデルの開発:LED光による環境条件を変化させた場合に魚群行動を記述するレベルセット関数の移流速度V(Φ,φ)の数学的記述法をさらに検討するとともに参照データのマッピングにディレクトリ構造を持たせた新機軸を盛込んだ新しい数値計算手法の開発する.
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Causes of Carryover |
1.本年度も昨年度に引き続き新型コロナ感染症の影響を大きく受け,徳島県水産研究所における魚群行動実験がほんのわずかしか実施することができず,実験装置の改良に係る予算が消化できなかった. 2.新型コロナ感染症の影響で,各研究機関における研究者個々の独立的な画像情報処理システムや数理モデリング手法の開発に終始したため,予定していた研究打合せや研究成果発表のための出張など,旅費が消化できなかった. 本年度の研究成果を踏まえて,次年度の研究費の使用計画をコロナ感染症対策も考慮しつつ,以下に示す. 物品費として旧年度で出来なかった新型360°カメラなど魚群行動観察システムの改良に用いる.消耗品は,電子部品や記録メディア,印刷トナーなどの購入に充てる.また旅費は,共同研究者ならびに研究協力者5名による研究成果発表として対面形式並びにオンライン形式の国内外の学協会に充て,人件費・謝金は実験データ整理とする.さらに,その他として参考文献購入費や論文投稿料に充てる計画しており,交付後の研究費使用計画を満足する.
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