2019 Fiscal Year Research-status Report
超臨界CO2流体を用いた難プラズマエッチング材料の熱化学ドライエッチング
Project/Area Number |
19K04466
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
近藤 英一 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70304871)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / エッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超臨界CO2流体を用いて貴金属・準貴金属(Pt, Cu, Coなど)などの難プラズマエッチング材料を「ドライ」エッチング除去する新規薄膜プロセスに関するものである。今年度は装置の作製、試料調製、エッチング可能性の検証を行った。 フロー式超臨界CO2装置を用いて、エッチング加工の装置作成と準備実験を行った。この装置は研究代表者が超臨界CO2中で薄膜堆積を行うために考案したものと概略同一で、送液ポンプ、液冷却器、高圧反応容器、温度調節器、圧力調節器、ガス連続添加装置からなる。これを整備し、O2が連続添加できるようにした。製作した反応容器内部には流体流通路を新たに設計して作成した。 金属Cu、Co、Pt、Ruの各薄膜試料(膜厚5nm~200nm)を準備した。薄膜の堆積には研究室のe-beam蒸着装置ならびに共通施設の三元スパッタ装置を用いた。堆積速度の決定、膜厚分布の測定を行って、プラズマ放電電力やガス流量を調節して最適化した。Coについては腐食の懸念があったので水洗の可否も検討した。 エッチング反応を促進するために添加する錯化剤(Hhfac)はアセトンの溶液とし、高圧ポンプCO2とともに圧送した。濃度はwt%で0.1程度溶解させ、圧力10~15MPa、温度150~250℃程度で高圧容器内で処理を行った。サンプルにはCu、Co、Ptを用い、いずれの場合にもエッチング可能であることを確認した。以上述べたように今年度は主に準備を行い、本研究の主眼であるエッチング反応についても基礎的な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、2019年度に装置作成と試料準備を行うことになっている。本年度はいずれも行うことができた。装置の試運転と予備実験も行うことができた。基本コンセプトとして用いた薄膜堆積装置とは異なる流体系の設計も盛り込んだ。 試料調製では、Co特有の試料の問題もありその対策を行う必要があった。しかし、Co表面の酸化特性と安定化に関する新たな知見が得られ学会発表も行った。金属エッチング反応は酸化反応であるから本知見は研究の遂行とメカニズム検討のうえで重要である。 試料は計画書に記載したすべてを準備したわけではないが、予想される反応機構から必要とするものは準備できた。可能であれば2019年度に一連の反応データをとれればよかったがそこまでは着手できなかった。 以上からおおむね当初計画通りに進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初計画通りに進行しているので、次年度も継続して研究を遂行する。 具体的には、まず今年度準備できなかった試料を準備したい。さらにすでに作製した試料のうち特にCo, Cu, Ptを中心にエッチングの実験条件依存性を調べる。圧力(10~15MPa)、温度(150~300℃)、Hfac濃度、O2濃度を変えて検討を行う。加えて酸素をイオン注入した試料を準備し、流体中への酸素添加の効果とともに、酸素の働きに関する考察を行う。 2019年度の学会等でのディスカッションからRuのエッチングについては実用的にも学術的にも知見が望まれていることがわかった。注力したい。 コロナ禍で実験進捗の大幅な遅れが懸念されるが、回復に努めたい。
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Research Products
(13 results)