2020 Fiscal Year Research-status Report
スポンジ構造の有機・ナノ炭素材料を用いた軽量・柔軟・透明な熱電変換素子の開発
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19K04467
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸 直希 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70470044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熱電変換材料 / 透明電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機材料・炭素材料をベースとした軽量・柔軟・透明な熱電変換素子の開発として、熱電変換層材料のスポンジ構造化を試み特性向上を目指している。2020年度は、熱電変換層材料となるスポンジ構造有機系熱電変換材料および軽量・柔軟なナノ炭素透明電極についての以下の研究を行った。 1.スポンジ構造化有機系熱電変換材料自立膜の作製と特性評価 有機系熱電変換材料であるPEDOT:PSSに凍結乾燥処理を施し、スポンジ構造を持つ自立膜の作製を行った。SEM観察により自立膜においてもPEDOT:PSS中に微細な構造が確認され、細孔構造が形成されていることを確認した。凍結乾燥によりスポンジ構造化したPEDOT:PSS自立膜の特性評価を行い、加熱乾燥により作製した試料との比較を行った。軽量性について、密度の評価を行ったところ凍結乾燥試料において、1/10程度まで低減することに成功した。導電率については、今回の作製条件においては、凍結乾燥により作製した試料の方が加熱乾燥によるものと比べ低くなったため、今後スポンジ構造形成の条件のさらなる改善が必要である。 2.単層カーボンナノチューブ透明電極の分散剤フリー成膜におけるグラフェン複合化の試み 分散剤フリーにて製膜した単層カーボンナノチューブ透明電極のさらなる低抵抗化および成膜性の改善を目指しグラフェンナノプレートレットの複合化を試みた。今実験の作製条件において、導電性はグラフェンナノプレートの複合化により若干の低下が見られたが、薄膜の剥がれの抑制など成膜性の改善を見ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究で、スポンジ構造を持つPEDOT:PSS自立膜の作製に成功し、PEDOT系有機系熱電変換材料のスポンジ構造自立膜作製の指針を得ることができた。また単層カーボンナノチューブ透明電極についてグラフェンナノプレートレットとの複合化により成膜性の改善に成功した。しかしながら、本実験の作製条件では熱電変換層材料についてはスポンジ構造化に伴う導電率の低下が、また透明電極についても導電性の低下が見られた。今後更なる特性向上に向け、これらの改善について研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
熱電変換層材料についてPEDOT:PSSからなるスポンジ構造自立膜の作製に成功したが、スポンジ構造化に伴い導電率の低下が見られた。今後はスポンジの細孔構造と導電率との相関の解明、また熱電特性の更なる改善を行うため凍結乾燥条件のさらなる検討を行う。また、透明電極についてはグラフェンナノプレートの複合化による成膜性の向上が見られたが、同時に導電性の低下も見られた。グラフェンナノプレートレットが分散過程でサイズが小さくなっており、グラフェンナノプレートレットサイズに着目した分散条件の見直しを行い更なる導電性の改善を目指す。
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Research Products
(4 results)