2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノファイバーによる散乱構造の制御と発光デバイスへの展開
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19K04491
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
尾崎 良太郎 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (90535361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 一則 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (60291506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノファイバーはナノ材料のひとつであり、繊維径が数十~数百ナノメートルの極細繊維である。現在、衣類・フィルタ応用のみならずメディカルや電気・電子分野まで幅広く研究開発されている。従来のマイクロファイバーに比べて高比表面積、高空隙率、微細孔径などの特徴がある。更に、ファイバーの配向制御が可能であり、配向性の高いものやランダム配向のものを容易に得ることができる。本課題では、ナノファイバーによる散乱を制御することで光増強効果などのナノファイバーが創り出す新たな光学効果の探求とそれらのメカニズム解明を目的として研究を行い、次の成果を得た。色素添加した高分子薄膜を用いて、紫外線励起による発光スペクトルを測定しながら、エレクトロスピニング法により、サンプル上にナノファイバーを形成することで発光増強を観測した。スペクトルの測定のみでは、光散乱による指向性変化か光増強効果のどちらかを区別することができない。そこで、発光スペクトルの時間変化測定に加えて、角度依存性も測定した。180度に渡って測定したスペクトルを平均すると約1.25倍増強しており、サンプルからの発光が強くなっていることが確認できた。なお、サンプル前方の発光が1.6倍程度強くなっているのに対して、側面は0.9倍程度に若干低下していた。この前方の増強と側面の強度低下は、ナノファイバーに形成によって、前方への光の取り出し効率が改善されていることを示唆している。また、光の取り出し効率の改善だけでは、本質的な発光増強は得られないが、本実験では1.25倍の発光増強を得ているため、これはナノファイバーの散乱により、励起効率が上昇していることも明らかにすることができた。なお、これらに加えて、エレクトロスピニング装置の改良や、ファイバーだけでなく、ドロップレットでも同様の効果を得ることができるかなどの検証も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、ナノファイバーの発光増強のメカニズムの一部を解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
色素添加高分子フィルムで実験を行ったが、LEDでの実験を行う。FDTDシミュレーションを行い、理論面からナノファイバーによる発光増強メカニズムを裏付けるとともに新たな素子の開発を目指す。
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Research Products
(3 results)