2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノファイバーによる散乱構造の制御と発光デバイスへの展開
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19K04491
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
尾崎 良太郎 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (90535361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 一則 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (60291506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、ナノファイバーによる散乱を制御することで光増強効果などのナノファイバーが創り出す新たな光学効果の探求とそれらのメカニズム解明を目的として研究を行っている。2019年度は、ナノファイバーを積層させた高分子フィルムの発光スペクトルの角度依存性を測定することで、発光スペクトルの変化が、光散乱による指向性の変化ではなく、光増強によるものであることを明らかにした。また、エレクトロスピニング時の発光変化のスペクトルと動画の同時測定にも成功した。2020年度は、主に、LEDチップ上にナノファイバーを形成することで発光増強を得られるかを調べた。実験には、市販のLED電球を分解して、チップ部にエレクトロスピニングによってナノファイバーを形成することを試みた。これまでのITOガラス上の試料とは違い、周囲に配線などが施されており、物理的に障害が多かったことと、電気的な基準を取ることが困難であったことが原因で、チップ上に、ナノファイバーをチップ状に積層することが困難であった。電極構成を工夫することで発光実験まで行えたが、スペクトルの時間変化は測定できたものの、明確な発光増強効果を観測することはできなかった。そのため、LED電球ではなく、LEDチップそのものを購入して、チップ上にナノファイバーを形成する実験を行った。電球よりナノファイバーを形成しやすくなったものの、残念ながら、高分子フィルムのような明確な発光増強効果を観測することはできなかった。これは発光層の膜厚や表面のナノファイバーの状態に依存していることが予想され、これらを解析することで、高分子フィルムで観測された発光増強効果のメカニズム解明につながると考えている。現在は、これらを解析するため、有限要素法やFDTDを用いた光学計算を実施している。また、本技術を応用した液晶ドロップレットの研究も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LEDチップにエレクトロスピニングでナノファイバーを形成することが容易ではなく、実験に想定以上の時間を要した。また、コロナウィルス感染拡大防止のため、実験に費やせる時間が減ってしまったことも要因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
発光増強のメカニズムを解明するため、発光増強を示す高分子フィルムと発光増強を示さないLEDを比較しながら実験を行う。また、有限要素法やFDTDシミュレーションを行い、理論面からナノファイバーによる発光増強メカニズムを検証する。
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Research Products
(2 results)