2019 Fiscal Year Research-status Report
Novel magnetic materials generated by a combination of hot spots and enhanced-quantum effects :Development of functional materials for the application of sensors
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19K04496
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
安川 雪子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (10458995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 政信 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70296325)
山根 治起 秋田県産業技術センター, 電子光応用開発部, 上席研究員 (80370237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電気電子材料 / 磁性薄膜 / 磁気光学効果 / プラズモン効果 / 貴金属ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はTbFeCo磁性膜の優れた磁気光学効果(以下「MOKE」とする)に着目し、革新的原理に基づく高感度で高S/N比、且つ高速センシング用のMOKE型・磁気センサ用基盤材料の開発を目的とする。 本研究ではTbFeCo磁性膜と貴金属ナノ粒子、誘電膜等を複合した「磁気プラズモニック物質」を作製し、これを研究対象物質としている。この磁気プラズモニック物質をMOKE型・磁気センサ用基盤材料として実現するには、MOKEの飛躍的な増強がキーポイントとなる。これを実現するために以下の3点からのアプローチを試みている。(1) 貴金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴(以下「プラズモン」とする)によって励起されるホットスポット電場(均一で増強された電場のこと)と、TbFeCoのMOKEを相互作用させてMOKEを増強する。(2) 光を物質内部で反射させる光干渉効果によりMOKEを増強する。(3) ホットスポット電場でTbFeCo磁性膜のスピン軌道相互作用(以下「SOI」とする)を増強し、これによってMOKEを増強する。この(1)~(3)の組み合わせにより、磁気プラズモニック物質のMOKEを増大する、即ち磁気プラズモニック物質のKerr回転角を増大するのが狙いである。 2019年度は磁気プラズモニック物質の構造最適化を目指して研究を行った。磁性膜、貴金属ナノ粒子、誘電膜、酸化防止膜等、磁気プラズモニック物質の積層構造、作製方法、また光の吸収から貴金属ナノ粒子を起源とする局在表面プラズモン共鳴を評価し、目的とする磁気プラズモニック物質の基本構造を決定した。 現在未達成のナノテスラレベルの磁場感度・ミリメートルレベルの空間分解能を実現する磁気センサの基盤材料の開発に際し、磁気プラズモニック物質の基本構造は最も中核となる重要ポイントである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気プラズモニック物質の中核となる貴金属ナノ粒子をマグネトロンスパッタ法で作製した。作製した貴金属ナノ粒子は自己組織化的に粒子構造を形成しており、粒径が30 nm程度で粒子間距離が均一で基板全体に高密度に形成した。この貴金属ナノ粒子自己組織化構造の分光測定により、貴金属ナノ粒子が高効率に局在表面プラズモン共鳴を励起する実験条件を確立できた。 この貴金属ナノ粒子自己組織化構造の上層および下層に誘電層等を成膜し、さらにTbFeCo磁性膜を成膜した磁気プラズモニック物質全体のKerr回転角を測定した。外部印加磁場がゼロの際のKerr回転角の大きさから評価したところ、スパッタリング方法、積層膜の種類、厚さ、スパッタリング時の基板温度、スパッタリング後の熱処理条件等も確立することができた。作製した磁気プラズモニック物質は、未だ不十分ではあるものの、本研究で目的とするMOKE(Kerr回転角)の増大を達成し、本研究の方針が正しいことを実験的に検証できた。 また招待講演を含め、国内外の学術学会において本研究成果を積極的に公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに理論では提唱されている貴金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴とMOKEの相互作用のメカニズムについて、今後はこのメカニズムを解明するための実験的検証を目的とした研究を展開する予定である。 そのために、まずは作製した磁気プラズモニック物質について、貴金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴から発生するホットスポット電場を分光測定の一種によって可視化/イメージングし、貴金属ナノ粒子近傍で生じるホットスポット電場のイメージ像の取得を目指す。次いで動力学的モデル等に基づいて、ホットスポット電場の3次元的な空間分布状態やその強度の定量的評価に取り組む予定である。またSOIの増強のため、磁性膜にドーパントを添加する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の計画として申請していた「マグネトロンスパッタ装置の高機能化」が、当初の見込み金額より廉価で整備することができたため、次年度使用額が発生した。 次年度の研究費使用計画は、作製した試料の物理的特性を評価するための学外機器使用料、特殊分析依頼料、学術誌への投稿料等である。
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Research Products
(6 results)