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2019 Fiscal Year Research-status Report

狭ギャップ半導体薄膜の磁場下電子物性研究と超高感度電流センサの開発

Research Project

Project/Area Number 19K04498
Research InstitutionFukuoka University

Principal Investigator

眞砂 卓史  福岡大学, 理学部, 教授 (50358058)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 笠原 健司  福岡大学, 理学部, 助教 (00706864)
柴崎 一郎  公益財団法人野口研究所, 研究部, 顧問 (10557250)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsホール素子 / 非接触電流センサ / 狭ギャップ半導体
Outline of Annual Research Achievements

昨年度は、プリント基板中等、導線中を流れる電流が作る磁場をホール素子により検出する電流センサの開発に際して、効率的な微弱電流の検出を目指した。この様なホール素子による電流検出では、100mA程度が実用上の検出下限であったが、近年のIotやAI技術の進展で、より微小電流を高精度で検出する非接触電流センサの実用化が重要となっている。このために、回路基板上に1ターンの円電流回路を形成し、その中心磁界の計測を高感度ホール素子で検出する電流センサを検討した。強磁性コアがない状態の単結晶InSbホール素子を用いて、10 mAの精度で電流検出に成功した。また、コの字型導線の作る磁場の空間分布の測定等、配線とセンサ位置の最適条件を探索する実験を行い、検討を進めた。これらの成果は、特許としてまとめているところであり、来年度中には特許化の予定である。
さらに、ノイズ特性について、単結晶ホール素子、多結晶ホール素子、多結晶ホール素子(フェライトチップ付き)の比較検討を行った。ホール素子の動作領域サイズが異なっていたこともあり、単結晶である優位性はあまり観測されず、フェライトチップ付きが多結晶であるにも関わらず、S/N比の非常によい特性を示すことが分かった。高感度化には、フェライトチップは重要あることが示唆された。また、動作領域サイズの違いにより、やはりノイズレベルに影響することが確認されたため、様々な組成のウエハについて、様々なサイズのホール素子のノイズ特性を系統的に調べる準備を始めたところである。
また、ホールセンサウエハとしてのInAsxSb1-x/AlyIn1-ySb量子井戸について、バンドダイアグラムをx、yの全範囲の組成に渡って0.1刻みで変化させて計算を行った。本結果は論文としてまとめ(特許準備のためまだ未投稿)、特許化の準備を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

プリント基板中電流センサの開発に際して、効率的な微弱電流の検出を目指した。このために、回路基板上に1ターンの円電流回路を形成し、その中心磁界の計測を高感度ホール素子で検出する電流センサを試作し、10 mAの精度で電流検出に成功した。これはフェライトチップを援用すれば、1 mAレベル程度の電流も検出できることが視野に入ってきたことを意味する。さらに、実際の電流センサのパッケージ化を目指して、特許化の準備を進めている。これまでに先行技術調査は終了し、我々の技術の優位性について検討しているところである。
また、ノイズ特性についても、いくつかの種類のホールセンサについて実施することができ、ノイズ特性を比較することができた。この結果から、様々な組成のウエハについて、様々なサイズのホール素子のノイズ特性を系統的に調べる準備を始めた。具体的には、入力電極、出力電極、動作領域等を系統的に変化させたマスクパターンを検討し、素子加工において低温でもオーミックなコンタクトをとれる電極作製の検討を始めている。
また、ホールセンサウエハとしてのInAsxSb1-x/AlyIn1-ySb量子井戸について、バンドダイアグラムをx、yの全範囲の組成に渡って0.1刻みで変化させて計算を行った。それぞれの組成を変化させることにより、系統的にタイプI、タイプII、タイプIII(タイプII broken gap)と変化することがわかった。xの増加とともに井戸の位置は低下し、また、井戸深さはyの増加とともに増大する。これらの検討を行った結果、高感度ホールセンサとして有望な組成領域を絞ることができた。本結果は論文としてまとめ、特許化の準備を進めている。

Strategy for Future Research Activity

現在検討中の電流センサの特許案を申請までにこぎ着けることが第一である。このために必要な補足資料となる実験を必要に応じて進める。さらにその付随特許についても検討を進める。
ホール素子の感度向上のためのノイズ評価は、まず、低温でも良好なオーミック性を示す電極作製条件の確立と、ノイズ特性のサイズ依存性の測定を進める予定である。オーミック電極の作製条件探索には、InSb系はあまり高温アニール処理ができないため、InSb系薄膜はまだ比較的容易に条件が確率できると考えられるものの、量子井戸系は時間がかかる可能性がある。その後、マスクパターンの作製については既に検討が終わっているため、早期に作製し、様々な組成のウエハ、様々なサイズのホール素子のノイズ特性を系統的に調べる。
次に、InAsxSb1-x/AlyIn1-ySb量子井戸のバンドダイアグラムについて、早期に特許化を目指し、論文としても登校する。本特許をもとに、実際のウエハの作製パートナーを探し、電気伝導特性およびホール素子特性の評価を進める。これらによって、実用化にむけた組成の確立を目指したい。

Causes of Carryover

2~3月の間に東京で研究打ち合わせをする予定であったため、予算を残しておいたが、研究打ち合わせが延期となった。このため、次年度の研究打ちあわせに使用の予定である。

  • Research Products

    (7 results)

All 2020 2019

All Journal Article (4 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] センサ基礎講座第6回 薄膜ホールセンサ2020

    • Author(s)
      柴﨑一郎
    • Journal Title

      計測技術

      Volume: 1 Pages: 48-56

  • [Journal Article] 社会生活の夢を実現したホール素子の研究開発2019

    • Author(s)
      柴﨑一郎
    • Journal Title

      TMS研究

      Volume: 2 Pages: 15-23

  • [Journal Article] センサは何を変えたか?未来に向かって何を変えるのか?(1)2019

    • Author(s)
      柴﨑一郎
    • Journal Title

      Webジャーナル・センサイト http://sensait.jp/9204/

      Volume: - Pages: -

    • Open Access
  • [Journal Article] センサは何を変えたか?未来に向かって何を変えるのか?(2)2019

    • Author(s)
      柴﨑一郎
    • Journal Title

      Webジャーナル・センサイト http://sensait.jp/9205/

      Volume: - Pages: -

    • Open Access
  • [Presentation] 高感度薄膜磁気センサによるイノベーションの歴史と将来展望2019

    • Author(s)
      柴﨑一郎
    • Organizer
      第28回センサテクノスクール「次世代センサ・アクチュエータの基礎から最先端技術」
    • Invited
  • [Presentation] 単結晶InSbホール素子を用いたプリント配線中を流れる電流の非接触計測2019

    • Author(s)
      笠原健司,柴崎一郎,眞砂卓史
    • Organizer
      第36回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム
  • [Presentation] 社会生活の夢を実現したホール素子の研究開発2019

    • Author(s)
      柴﨑一郎
    • Organizer
      TMS研究会
    • Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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