2020 Fiscal Year Research-status Report
AlN/ダイヤモンドpin接合を用いたダイヤモンド電子デバイスの高性能化
Project/Area Number |
19K04501
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井村 将隆 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (80465971)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電子デバイス・電子機器 / ダイオード / 電子エミッタ / 窒化アルミニウム / ダイヤモンド / 有機金属化合物気相成長法 / マイクロ波プラズマ気相成長法 / 原子層堆積成長法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、窒化アルミニウム(AlN)/ダイヤモンドpin構造を用いたダイヤモンド電子デバイスの高性能化及び新機能デバイスの開発を試みている。各材料は、有機金属化合物気相成長(MOVPE)法、原子層体積成長(ALD)法、超高真空スパッタ法、マイクロ波プラズマ気相成長(MPCVD)法を用いて成膜している。n型AlNからダイヤモンド側に高濃度の電子を注入すること、また負性電子親和力を有すダイヤモンド水素終端表面より注入した電子を放出させることを目的としている。 2019年度において、n型AlNの低抵抗化、良好なヘテロ接合界面の形成、n型AlNと金属の接触抵抗低減化を再検討する必要があることが明らかとなったため、2020年度において申請者は、n型AlNの低抵抗化に取り組んだ。MOVPE法を用いて成長温度1300℃以上でAlNを成長させることで、AlN結晶の品質を向上させ、結晶中の残留不純物濃度をSIMSの検出限界値以下に制御した。この条件下でn型導電特性を得るために必要なSiドーパント濃度(流量)を従来より一桁増加させ、Siをドーピングさせることに成功した。本手法は、従来より二律背反の問題(成長温度を上げることで、結晶品質は向上し、残留不純物濃度の低下させることができるが、Siドーパントが脱離してしまう問題)として知られているものを解決する一つの手段であると考えている。一方で、n型AlNと金属の接触抵抗低減化の課題に関しては、現在も良好なオーミック特性を得ることができていないため、詳細な電気的特性評価が実施できていない。そのため、次年度では、デルタドーピングや金属-半導体のポストアニール処理による冶金学的反応を積極的利用して良好なオーミック特性を得ることに努め、電子放出特性の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度において申請者は、MOVPE法を用いてn型AlNの成長条件の再検討を行った。1300℃以上の高温にて、AlN中のSiドーパント濃度を制御することに成功した。しかしなが、良好なオーミック特性を得ることができておらず、詳細な電気的特性評価が不十分である。また現在、コロナウイルスの影響で、ロシアから購入を予定していた導電特性p^+ダイヤモンド基板の安定提供が困難となってしまった。そのため、最終目的の電子放出特性については未だ評価できておらず、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では、n型AlNと金属の接触抵抗低減化を再検討する。仕事関数の小さい金属を堆積後、ポストアニール処理行うことで、n型AlNと金属の接触抵抗低減化を行い、高温ホール測定を用いて詳細に電気的特性評価を実施する。その後、n型AlNとダイヤモンド基板のとヘテロ界面の形成に取り組み、電子放出特性の評価に繋げる予定である。導電特性p^+ダイヤモンド基板の購入が困難の場合、AlNを中心としたデバイスの開発に取り組み、本研究の優位性を実証する。
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Research Products
(5 results)