2019 Fiscal Year Research-status Report
手術ロボットに適用可能な超小型マイクロ波エネルギーデバイスの開発
Project/Area Number |
19K04507
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齊藤 一幸 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (80334168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロ波 / エネルギーデバイス / ロボット手術 / 高周波電流 / 温度上昇 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の外科手術で多用されるエネルギーデバイスは,エネルギー源は異なるものの,いずれも短時間で生体組織を高温に加熱し,切開,止血,吻合などを行うものである。さらに,これらの行為を単体で行うだけでなく,切開と止血を同時に行うといったようなことも可能であるため,現在では,外科手術になくてはならないデバイスである。また,エネルギーデバイスは,当然のことながらロボット手術でも使用されており,重要な治療デバイスであると言える。しかしながら,既存のエネルギーデバイスにはいくつかの問題点も存在し,それらはロボット手術においても無視できない。そこで本研究では,マイクロ波エネルギーを利用した新しいエネルギーデバイスをロボット手術に適用できるよう,主に小形化に関する検討を行う。 本年度は研究開始年度であるので,まず,マイクロ波エネルギーを外科処置具として生体組織に作用させた際の諸特性を詳細に把握することとした。これを行うため,現在エネルギーデバイス用に広く用いられている高周波電流とマイクロ波を,それぞれ生体組織に作用させ,その時に観測される諸特性を比較検討した。 この結果,マイクロ波エネルギーの方が高周波電流よりも生体組織の深い位置まで到達する,すなわち,生体組織の深い位置まで温度を上昇させることが可能であることがわかった。さらに,マイクロ波を放射するアンテナは,生体組織に密着させる必要がないため,生体組織表面の冷却も可能であり,この部分の熱的な損傷の可能性を低減できる可能性があることもわかった。 以上のように,マイクロ波をエネルギーデバイスに適用した際の有利な特性が明らかになったため,次の段階としてロボット手術に適用可能な微細なマイクロ波エネルギーデバイスの試作に関する検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ波エネルギーを生体に作用させた場合の利点を再度確認し,また,ロボット手術に適用可能な微細なエネルギーデバイスの開発に着手できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発を開始した微細なマイクロ波エネルギーデバイスの開発を進める。この過程では,生体内の電磁界分布や温度上昇分布の数値計算を行う予定である。さらに,これらの結果を確認し,またデバイスの動作を実証するためにも摘出臓器を用いた実験も行う予定である。
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