2022 Fiscal Year Annual Research Report
観察者の近距離へ表示された仮想物への目のピント調整に関する研究
Project/Area Number |
19K04513
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石原 由紀夫 島根大学, 学術研究院理工学系, 講師 (30597571)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 3Dディスプレイ / フライアイレンズアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
広く利用されている立体映像方式では、立体映像が飛び出して観察者に近づいた場合、眼球の輻輳と水晶体のピント調整の間に不一致が生じ、頭痛や3D酔いを引き起こす。この不一致を解消できると期待されるフライアイレンズ(FEL)アレイを用いた表示方式により、観察者の目の前へ仮想物を結像させることを目指す。本研究では観察者が仮想物を観察したときに、その仮想物へ目のピントが合わせられるかを明らかにする。 本年度は2021年度実施状況報告書で計画したとおり、被験者10名を募りFELアレイによって結像された仮想物および実物の観察を実施した。被験者の条件は裸眼で20cm先のものが明瞭に見えることとした。観察対象はFELアレイの手前2.7mmの位置にある物理的に印字された指標(実物)と、FELアレイの手前2cmの位置に結像された四角形(仮想物)とした。被験者はFELアレイから約20cm離れた位置において顎台により頭の位置を固定し、実物と仮想物を交互に観察した。すべての被験者が実物を観察してから仮想物を観察する場合と、その逆の場合を実施した。水晶体調節応答測定機器により、観察中の水晶体の状態から被験者とピントが合っている位置の間の距離を算出した。仮想物を観察中の被験者の水晶体を基に算出された対象物までの距離が、実物を観察中の場合の距離より有意に短いかについてWilcoxon符号つき順位検定により片側検定を実施した。その結果、仮想物を観察中には、実物より近い位置に目のピントが合っていることが示された(p<0.005)。さらに、実物および仮想物を観察している時のピントが合っている位置の差は約2.5cmであったことから、本研究課題の目的である「観察者が仮想物を観察したときに、その仮想物へ目のピントが合わせられるか」は「合わせられる」と結論づける。
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