2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K04517
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 弘 北里大学, 一般教育部, 教授 (50525384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テラヘルツ / ヘテロダイン検波 / パッシブ・イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度見直した研究方針に従い、FMBダイオードを基本構成要素としたサブハーモニックミキシングを実現するため、原理的に特性面で優れているアンチパラレルダイオード対を作製するためのプロセス試作を実施し、作製した素子をモジュールに実装してして検波特性の評価を行った。その結果、300GHz帯において目標値を大幅に下回る(より良好な)値である雑音等価電力(NEP)1E-18 W/Hz程度を実現した。また、このときに必要となるLO出力はわずか30μW程度であることも見出した。この特徴は、特に検出器をアレイ化する際に極めて重要であり、パッシブイメージングの実現に向けた重要な技術的ポイントでもある。またこの結果から、検波特性をさらに改良するための指針についても抽出を行うことができた。これらに加え、単体素子特性の改良に向けた指針を抽出するため、素子パラメーターの検波特性への影響を検証するための試作・評価も実施し、バリアハイトなどの基本的な素子パラメータを最適化するための指針も明らかにした。そしてこれらの結果を素子設計に反映させることで、次期プロセス試作への準備を進めた。さらに、現状用いている構成と比べ、より優れた特性を持つ高周波平面回路を実現するための実装構成について、解析的な検討を進めるなかで新たな着想を得た。これを実現するため、部材や前工程の準備、伝送線路や実装筐体の設計・作製、新たなプロセス工程の構築などを行うことで、次期プロセス試作の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
見直し後の方針に従い、作製した素子と実装筐体を用いた検出器モジュールの作製と素子特性評価を概ね予定通り進めることができた。そして、サブハーモニックミキシングを用いることで、目標値を大幅に下回るNEP 1E-18 W/Hz程度を実現することができた。以上の結果は、当初計画の目標に向けて着実に進捗しており、全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかにした素子改良指針を反映させた新たな素子の試作を進め、これまで以上の性能改善の実現を目指す。また平面回路を構成するうえで重要となる新たな実装構成を検証するため、改良された実装部品を用いたモジュールの評価を進める。そしてこれらを総合化し、計画の目標実現に向けたさらなる特性改善を図る。
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Causes of Carryover |
研究計画の見直しと協力企業における作製工程の事情により、検討の進め方を再考したため、使用は当初計画通りではなかった。 次年度も、見直し後の研究方針に沿って効果的に使用する予定である。
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