2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K04517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (50525384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テラヘルツ / ヘテロダイン検波 / パッシブ・イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに検討を行って来た要素技術と「SiCプラットフォーム」技術とを統合し、当初計画にある「テラヘルツ平面回路」の動作を実証するため、信号分離機能を有する平面回路を用いた検出器構成の一種であるバランス型検出器を選定し、詳細な素子動作の検討を行った。バランス型検出器には、平面回路型方向性結合器の一種である90度ハイブリッド回路が用いられているため、この検出器の動作を300GHz帯で実証できれば、最終目標である「集積型テラヘルツ波ヘテロダイン検出器」の実現に向け大きく前進する。そこでまず解析的に動作特性の検討を行った結果、検出器としての基本特性と必要な信号分離動作が300GHz帯で実現可能な事を確認した。そして、得られた設計結果に基づき、新たに素子作製プロセスを実施し、素子チップを完成させた。この素子を、新たに作製した導波管2入力型筐体(Jバンド用:220-325GHz帯)を用い、モジュールとして実装した。このモジュールを用い、LO信号源であるJバンドUTC-PDと組み合わせて検波特性の評価を行った結果、300GHz帯での基本波ミキシングにおいて、これまでFMBダイオードで得られている中で最も低い(最も良好な)雑音等価電力(NEP)2E-19 W/Hzを実現した。また、90度ハイブリッド回路のアイソレーション(信号分離特性)を評価した結果、300GHzで-15dB程度と良好な値を確認した。これらの結果により、平面回路型方向性結合器を用いた「集積型テラヘルツ波ヘテロダイン検出器」の実現見通しが得られたと共に、従来構成を上回る良好な特性が得られることも明らかにし、本研究計画の主要な目標の達成に大きく前進した。
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