2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of mutual pulling mitigation between two oscillators in synchronous systems
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19K04520
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉村 勉 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00460767)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非線形運動方程式の数値解析 / 非線形微分方程式の数値解析 / 発振器の線形モデル / 相互干渉現象 / カスコードPLL |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の発振器間の相互干渉のメカニズム解明が本年度の主たる目的であったが,それに関して今回新たに干渉系の非線形運動方程式の数値解析を行った。その結果,今まで明らかでなかった同期系での発振器の干渉現象について,非線形運動方程式の解の振舞いにより検証することが可能となった。さらに非線形運動方程式の線形モデル近似を導出し,線形モデルシミュレーションにより,非線形方程式と同様の振舞いの予測に成功した。当初の計画で目標とした完全同期系におけるPLLロックはずれの可能性の提示,干渉ノイズ印加タイミング依存,線形モデルシムレーションの妥当性の検証のいずれにおいても今年度の解析によって明らかにすることが出来た。 上記解析結果を研究チームが過去作成したテストチップの測定結果に照らし合わせて現象の解明を試みた。その結果,相互干渉系の線形モデルによる解析により以前作成したカスコードPLLの干渉現象の位相ノイズ増大のタイミング依存を説明することが出来た。これらの結果は特に新規性の高いものと判断されるので,上記の非線形方程式の解析と線形モデルおよびテストチップの現象解析を論文にまとめた。昨年度の末にIEEEの論文誌に投稿し現在査読審査中である。 メカニズム解明に関する理論検討が進んだことにより,その次のステップである干渉現象低減への手法の提案を検討している。その過程で高精度の位相ノイズ測定環境の構築が必要不可欠であることが分かり,次年度予算の前倒し請求を行い高性能スペクトラムアナライザの購入を行った。今後,干渉現象低減の手法を検証するテストチップ試作およびその測定を行っていく。また非線形運動方程式の解析を複数発振器の相互干渉に適用し,線形モデルとの妥当性についてもさらに詳細に検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の理論的メカニズムの解明については,ほぼ目標を達成できた。非線形微分方程式の数値解析と線形モデルとの比較評価が順調に行われ,線形モデルの妥当性が確認できたことから,次の干渉現象低減への手法検討に進むことが出来ると考えられる。理論的メカニズムの解明としては,複数の発振器の相互干渉現象に上記の非線形微分方程式の数値解析を適用し,複数の干渉系についても線形モデルによる解析が妥当であることを示すことで,より理論的メカニズムの解明が進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
干渉現象の低減手法の検討が今後の研究の方針となる。そのために従来行われていた低減手法の調査と,今回の新規回路手法による低減の検討を行う。新規回路手法の方針が固まったのち,その手法を検証する集積回路テストチップの設計・試作が次のステップとなる。さらにそのテストチップの高精度の位相ノイズ測定も研究の重要な項目となる。テストチップ設計・試作については,スケジュール管理が重要であるため,事前に試作スケジュールの調査を行い実現可能な日程で進めていく。
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Causes of Carryover |
位相ノイズ測定用に購入したシグナルスペクトラムアナライザの購入価格について,当初見積もり価格よりやや安価に購入できたこともあり使用額が生じた。翌年度分と合わせてテストチップ設計・試作と評価環境整備に充てる。
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