2021 Fiscal Year Research-status Report
低損失高速伝送のための負透磁率材料を用いた伝送線路設計理論の確立
Project/Area Number |
19K04521
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
中山 英俊 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (10390452)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 表皮効果 / 高周波伝送線路 / 低損失 / 負透磁率材料 / Cu導体 / NiFe磁性体 / 円形多層伝送線路 / 異方性磁界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、強磁性共鳴周波数を超えた超高周波領域の透磁率応用分野を新たに開拓する研究として、負透磁率特性を活用した表皮効果抑制線路を提案するものであり、高速伝送線路の低損失化・低遅延化を目的としている。 表皮効果損失抑制の有効性を示すため、負透磁率材料を用いた多層構造伝送線路の設計理論を確立し、特に、プリント配線における銅箔表面粗化に対する有効性の検証を進めている。当研究で確立した円形多層構造および矩形多層構造の電磁界理論を用いることにより、種々の材料の積層構造に対して最も低損失となる膜厚を設計することができる。 令和3年度は、主として、円形多層伝送線路に関する研究を進め、本研究の電磁界理論を用いて、負の透磁率を有する磁性材料の異方性磁界が変化した場合に対して、伝送損失に与える影響を評価し、低損失設計に必要な材料開発指針を得ることができた。現状想定しているNiFe磁性体であれば、想定する異方性磁界を付与することで、比較的低損失な伝送線路が実現できる見込みであることが分かった。 また、円形多層伝送線路の電磁界理論を発展させ、導体損失、磁性体損失および誘電体損失を加味した理論を拡張し、伝送線路全体の損失を評価できるようになり、同理論に基づいた低損失設計の検討を進めた。 研究実績として、国内学会で研究発表3件を実施することができた。なお、新規の特許事案1件を予定していたが令和3年度内に出願を完了することができず、令和4年度に出願することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の達成度は当初の計画以上に進展していたが、令和2年度は新型コロナウィルス感染症の影響により、研究時間が十分に取れない期間があり、令和2年度の進捗は計画よりも遅れた。令和3年度は知財の出願が遅れた面があるが、総合的な研究成果としては概ね順調と言える。 一方、円形多層伝送線路の電磁界理論を発展させ、特に、磁性材料における異方性磁界の影響を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、主として、令和3年度に予定していた円形多層伝送線路による同軸ケーブルを想定した伝送線路全体の設計に関する特許出願を進める。特許出願を完了させることで、本研究課題に対する一定の成果を達成することが期待できる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、主に、予定していた電磁界解析ソフトウェアの年間保守契約料を別の経費で充当できたことと、新型コロナウィルス感染症の影響により、関連出張が取り止めとなり、国際会議および国内学会等が中止またはオンライン実施になったことにより旅費関係の支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。 研究期間の延長申請により令和4年度まで研究期間を1年間延ばしたこともあり、令和4年度の研究を実施する経費として充当し、引き続き、研究成果を上げることを計画する。
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