2020 Fiscal Year Research-status Report
A proof-of-concept study of heat recovery solar cell
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19K04523
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上出 健仁 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50454062)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱回収型太陽電池 / 結晶シリコン / 開放電圧 / 熱電変換 / 熱回収 / 太陽電池 / ホットキャリア太陽電池 / SQ限界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来棄てられている自身の排熱の一部を熱電変換による熱起電力として回収することのできる新概念太陽電池「熱回収型太陽電池」の原理実証を行うことを目標とする。熱回収型太陽電池の特色は、従来型の太陽電池と真逆である「正の温度特性」をもつこと、つまり、開放電圧や発電量が光吸収体の温度上昇とともに向上することである。R2年度では、本目標の達成に向け、熱電変換素子を利用した熱回収型太陽電池(タイプII)を作成し、温度制御を行った実験により正の温度特性の観測に成功した。また、メイン課題に関係する新しいタイプのホットキャリア太陽電池についても理論的な成果を得た。 1. 市販の結晶シリコン太陽電池とビスマステルル熱電素子を組み合わせた熱回収型太陽電池(熱回収型太陽電池 タイプII)の作成および評価を行い、開放電圧と発電量の上で熱回収効果を確認した。温度制御下を行った測定において開放電圧と発電量がともにセル温度とともに上昇する「正の温度特性」の観測に成功した。また同デバイス設計の最適化指針についても実験的に裏付けられた知見を得た。 2. ホットキャリア太陽電池を実現する新しいコンセプトとして米国研究者らにより提唱されているホットキャリアのバレー間散乱の利用について、本研究代表者が開発した太陽電池の非平衡理論に基づく理論検証を行い、バレー間散乱が性能向上の上で効果的となるために散乱の一方向性(非相反性)が必要となることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
熱回収型太陽電池(タイプII)についてこれまでに得られていなかった発電量の上での正の温度特性を温度制御下ではあるが観測したことは、本目標の達成にむけた大きな前進である。実験で使用している市販の結晶シリコン太陽電池でなく、入手可能なより特性の良い結晶シリコン太陽電池を用いればより高い効果が得られることが期待される。また熱回収の効果の飛躍的な向上のための技術として、新しいホットキャリア太陽電池の理論開発も行い新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
熱回収型太陽電池(タイプII)については、熱電変換素子の寸法、集光、赤外吸収層の導入、他の光吸収層材料の導入など各種設計の改良を行い、最終的には外部熱源非利用時においても正の温度特性の観測も目指す。さらには、回路設計の変更や冷却方式を受動的なものへ変更するなど、電気・熱システム的な改良も加えモジュール開発まで目指す。 バレー間散乱を利用するホットキャリア太陽電池については性能向上を得るためのより具体的な技術提案を目指す。
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Causes of Carryover |
R2年度予算は主に実験用物品費として使用した。国内・国際学会や共同研究者との打ち合わせが全てオンラインにて行われたため、旅費について大きな未使用額が生じた。R2年度の未使用額は次年度以降の実験に活用する。
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