2020 Fiscal Year Research-status Report
Flexible Visible Photodonductive Sensor with Ag2S Thin Film and Metal Nanoparticles by Wet Process
Project/Area Number |
19K04524
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
海老澤 瑞枝 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第一部光音技術グループ, 上席研究員 (00510893)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光導電 / フレキシブルセンサ / 硫化銀 / 金属ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,一般的に室温付近での成膜が困難とされる無機材料を湿式で薄膜化し,フレキシブルな光電デバイスの開発につなげることを目的としている. 研究期間1年目において可視光での光導電効果を確認している厚さ100nm以下の硫化銀膜を得るために,銀薄膜を短時間で剥離することなく再現性を保って硫化することが大きな課題であった.本年は,硫化カリウム水溶液を低い濃度で制御し,室温より高い温度範囲で一定温度を保ちながら成膜面が対流の影響を受けない配置で浸漬することで,銀薄膜を再現性よく硫化する条件を見出した.湿式と真空の異なるプロセスで成膜した銀薄膜を上記の条件で硫化し,硫化処理時間に対する光-電気特性の計測,X線回折分析,SEMによる表面の観察を行った.硫化過程終期の急峻に電気的特性が変化する範囲においては,膜表面は殆ど変化せず,X線回折のスペクトルがわずかに変化する程度であり,硫化の進行度合いを知ることは困難であった.そこで硫化銀薄膜の光学特性に着目し分光測定を行ったところ,銀由来の波長320nm付近の紫外吸収と硫化によって吸収が増加する波長1500nm以上の赤外域の吸収の比に対して抵抗率は対数比例的に変化することが分かった.また,銀の残存体積と上記の吸収の比が比例関係にあることから,銀の残存体積と電気的特性の関係が定性的にではあるが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画時に想定していたよりも再現性のよい硫化条件を見つけることに実験期間を費やし(出勤抑制等により実験できない期間も含め),本年実施予定の銀ナノ粒子の担持による電気-光学的特性の実験が遅れたため.
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Strategy for Future Research Activity |
硫化銀薄膜を再現性よく形成できるようになったため,本年明らかにしたおよび銀の残存体積と電気的特性の関係を元に,担持する銀ナノ粒子の量を調整し,光電効果をもつ硫化銀膜における金属ナノ粒子の働きを解明するための実験を進める.
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Causes of Carryover |
実験進捗の遅れおよび旅費交通費を使用しなかったため,差額が生じた.差額は,本年実施できなかった分の実験の消耗品の購入に充てる.
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