2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造電子源を用いた超高分解能マイクロフォーカスエックス線源に関する研究
Project/Area Number |
19K04530
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
文 宗鉉 静岡大学, 電子工学研究所, 助教 (30514947)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | MEMS・NEMS / マイクロフォーカスエックス線 / 転写モールド法エミッタ作製方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
均一性に優れた先鋭なμmからnmサイズの微細構造作製が容易なマイクロエレクトロメカニカルシステム技術の一種、独自の転写モールド法を用いることで、電子放出面積の可変や電子放出点などを可変で、エックス線ビームフォーカスが決める、極微小電子放射源を用い超高精細・高分解能のエックス線発生源を開発する。まず、シリコン単結晶基板を異方性エッチング処理することで、基底部長さ100~400 nmのシリコン鋳型を作製した。このようにして作製したシリコン鋳型上に全単体金属中で最も低いが不安定なCsよりも低い仕事関数1.8eVを有し、安定な導電性セラミック材料を形成し、保持基板を接合した後、シリコン鋳型を溶解除去した。その結果、基底部長さ180 nm、先端曲率半径3.5 nmの転写モールド法微小構造エミッタアレイを作製し、今年度目標値である基底部長さ400 nm以下及び先端曲率半径10nm以下の先鋭性に優れるナノサイズの転写モールド法微小エミッタアレイの試作に成功した。基底部長さ180 nmまで微小化した電子源の電界電子放出電流変動率は、1次年度の結果である基底部長さ370-1570 nmの 電界電子放出電流変動率1.7-2.4%より低い1.6%となり、構造均一性が向上し、電界集中係数のばらつきが減少したため、より低くなった。次に,基底部長さ180 nmの転写モールド法微小構造エミッタアレイに対してエックス線放射特性を評価し、エックス線イメージの評価を行った。1㎜のエミッタとアノード間距離で電界電子放出電流が100μAである。ターゲット角度12°のアノードを用いて放射したエックス線は、焦点サイズが90 μmの良好なイメージを持つ転写モールド法微小構造エミッタアレイのエックス線源の開発に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
独自の転写モールド法エミッタ作製技術を用いて、1次年度の基底部長さ370-1570 nm より微小化した基底部長さ180 nmのエックス線発生源用電子源の試作に成功した。電界電子放出電流変動率は、1次年度の1.7-2.4%より低い1.6%となり、微小化により先端先鋭性および構造均一性が向上し、電界集中係数のばらつきが減少したためである。既存のSpindt型微小電子源等のturn-on電界50-600 V/μm、電界電子放出電流変動率数十%~数百%と比較しても低くなった。半導体検査や医療診断分野用次世代高分解能マイクロフォーカスエックス線源の実現のため、焦点サイズが今年度目標値の100μmレベル以下90μm焦点サイズを持つエックス線発生源の試作に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、2020年度の研究を更に進め、電子ビーム露光法により鋳型は開口径(正方形開口部一辺の長さ)を100 nm以下に微小化し、シリコン鋳型の均一形成の作製条件の検討・試作を行いエックス線発生源用微小電子源を開発する。エミッタ材料として高硬度・高化学安定性なアモルファスカーボン等を候補とする。アモルファスカーボン薄膜は、プラズマCVD 法により、基板印加電圧を変更して、アモルファスカーボンを試作する。平板基板での予備実験の後,結果をフィードバックして最適条件の電極材料を探る。研究協力者(韓国Kyung Hee大学Prof. Kyu-Chang Park)との共同研究協力をより積極活用して、エックス線の安定性と分解能を評価・解析する。電子放出面積や電子ビームの角度・ビームスポットなどとエックス線ビームフォーカシングの関係を探し、分解能を評価し、エックス線出力変動率が1%以下の高安定性及び焦点サイズが数~数十μmレベルの高解像度マイクロフォーカスエックス線源の実現可能性を検証する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、共同研究のための海外出張が出来ない、海外学会に参加もできない状況のため。次年度の研究に必要とする消耗品の購入及び成果発表のためのオンライン学会参加に関する経費として使用する予定である。
|