2019 Fiscal Year Research-status Report
ジョセフソン電流の2次元磁界変調特性を使った超伝導量子干渉計ホログラム
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19K04538
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
中山 明芳 神奈川大学, 工学部, 教授 (90183524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穴田 哲夫 神奈川大学, 付置研究所, 名誉教授 (20260987)
渡邉 騎通 神奈川大学, 工学部, 助教 (60533776)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導素子 / ニオビウム / 超伝導量子干渉計 / 2次元磁界変調特性 / 超伝導ホログラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導素子としてニオビウム(Nb)を超伝導電極として、アルミニウム(Al)を純酸素中で酸化したアルミニウム酸化膜(AlOx)とするNb/AlOx/Nbトンネル型超伝導ジョセフソン素子と縦型超伝導量子干渉計の作製のためのスパッタリング条件、酸化条件について検討した。特に、ニオビウムは酸素等の不純物ガスを取り込みやすいので、スパッタリング装置をイオンポンプ、チタンサブリメーションポンプ、ターボ分子ポンプおよびドライポンプのオイルフリー真空系で排気し、装置全体のベーキングを均一温度で行うことで到達真空度の改良をおこなった。また、超伝導ジョセフソン素子と縦型超伝導量子干渉計の接合面に対して平行に磁界を加え、その磁界ベクトルを接合面内で2次元で走査したときの超伝導ジョセフソン電流の変調特性について、液体ヘリウム温度での電流電圧特性の測定実験結果をもとに検討した。また、有限電圧での共振ステップ(いわゆるシャピロステップ)の高さの2次元磁界走査による変調特性についても実験的に調べた。一方で、超伝導素子のトンネル領域の電磁波の2次元分布状況を、マイクロ波平面回路にジョセフソン接合要素を追加したモデルで解析し、超伝導電流および有限電圧共振ステップの磁界変調特性を調べた。さらに、超伝導素子のトンネルバリアへ垂直磁界を加えたときの変調特性が履歴現象を有することを調べ、超伝導量子干渉計を流れる超伝導電流の2次元磁界走査による変調特性についても測定結果について検討した。高温超伝導体を電極に用いた素子についても溶液を用いた薄膜作製等の検討を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nb/AlOx/Nbトンネル型超伝導ジョセフソン素子と縦型超伝導量子干渉計の作製のためのスパッタリング条件、酸化条件についておおむね良好な作製条件を得ることができ、さらに素子の電流電圧特性の非線形性を高めるべくプロセスの改良をしている。オイルフリー真空系で排気し、装置のベーキングを約105度の均一温度で行うことで到達真空度の改良をおこなうことができた。 超伝導にあうように改良したマイクロ波平面回路での数値解析もおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
超伝導素子および超伝導量子干渉計の作製プロセスの最適化をおこなう。製作した超伝導素子および超伝導量子干渉計の磁界変調特性の測定をし、特に超伝導量子干渉計の2次元磁界変調特性の縞状模様の測定と解析をおこなう。改良したマイクロ波モデルでの数値解析もおこなう。
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Causes of Carryover |
初年では本研究費での消耗品の液体ヘリウムの購入がなかった。次年度において、消耗品としては液体窒素、液体ヘリウム等寒剤を消耗品として購入し、低温で素子電極を超伝導状態とし電流電圧特性および磁界変調特性の測定をおこなう。得られた研究成果については国内、国外の学会での発表をおこない、そのための旅費として使用する。
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