2021 Fiscal Year Research-status Report
超高密度熱アシスト磁気記録用高効率・小型ナノ光ヘッドの研究
Project/Area Number |
19K04541
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
片山 龍一 福岡工業大学, 工学部, 教授 (30610521)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱アシスト磁気記録 / 近接場光 / リング共振器 / ナノ光アンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、提案する熱アシスト磁気記録用ナノ光ヘッドを搭載した超高密度ハードディスク装置を実用化し、持続可能で豊かな情報文化社会の実現に寄与することである。熱アシスト磁気記録はハードディスク装置の記録密度向上に不可欠な技術である。熱アシスト磁気記録には熱源となる近接場光を発生するナノ光ヘッドが必要であるが、光の利用効率が低くサイズが大きいことが課題である。本研究の補助事業期間内の目的は、光源を内蔵した新規な構成により、従来に比べて遥かに光の利用効率が高くサイズが小さいナノ光ヘッドを実証することである。そのために解析と実験の両面から研究を進めた。 解析に関しては、半導体リング共振器とナノ光アンテナを組み合わせた新規な構成のナノ光ヘッドについて、その構成の最適化を目的として、前年度に引き続き3次元有限要素法を用いた電磁界解析のシミュレーションを行った。その結果、リング共振器については、レーザー発振の安定化に向けたスリット内蔵型や二重共振器型、および近接場光強度の増大に向けた非軸対称型の構造を提案し有効性を示すと共に、側壁の粗さがレーザーの品質指標や近接場光強度に与える影響について考察した。また、ナノ光アンテナについては、光スポットの微小化および近接場光強度の増大に向けた誘電体コア-金属シェル型の構造を提案し有効性を示した。 一方、実験に関しては、消費電力の低減を目的として、リング共振器の側壁の一層の平滑化方法としての、近接場光を用いた超精密研磨技術の開発を行った。側壁のような立体構造に対してもサブナノメートルの平滑化を行える可能性を見いだした。ナノ光ヘッドの試作も行ったが、COVID-19の影響により米国カーネギーメロン大学の評価設備を使用することができず、データ取得に至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、解析によりリング共振器におけるレーザー発振の安定性等の観点から新規なナノ光ヘッドの構成を考案すると共に、解析の結果を取り入れながらナノ光ヘッドの製作、評価を継続することであったが、それらの目標はナノ光ヘッドの実験データ取得を除きほぼ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業の目的をより精緻に達成するための補助事業期間の1年間の延長が承認されたので、追加の解析を実施し学会発表や論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究協力者との打ち合わせや成果発表のための国際会議がCOVID-19の影響により全てオンラインで行われたため旅費が発生せず、その費用を解析のリソース強化のためのソフトウェアの購入等に充当したが差額が生じた。 (使用計画) 解析のためのソフトウェアの保守等に充当し有効に使用する計画である。
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