2019 Fiscal Year Research-status Report
無侵襲内視鏡治療用超柔軟高機能細径赤外伝送路の開発
Project/Area Number |
19K04542
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
岩井 克全 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10361130)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
中空ファイバによる赤外光の伝送が可能になり、赤外光は内視鏡治療にその応用が展開されようとしている。極細径 (内径320 μm)中空ファイバ製作に見通しが立ってきた。本研究では、曲げ半径15 mm、曲げ角270°で使用可能な内径320 μm、長さ0.2~2 mの細径中空ファイバの製作と、高出力赤外レーザ光 (Er:YAGとCO2レーザ光)と可視ガイド光が伝送可能な超柔軟高機能中空ファイバの開発を目的とする。2019年度の研究実施成果を下記に示す。 超柔軟高機能細径銀中空ファイバの製作を行う際の課題は、内径320 μmガラスキャピラリチューブ内面に、良好な銀膜を成膜することである。銀鏡反応の前処理として、SnCl2溶液を用いたセンシング処理とSnCl2溶液を均一にコートするためのコンディショニング処理(触媒の吸着改善)を導入した。中空ファイバの内径が細くなると銀鏡反応溶液の流量が低下し、銀粒子の大きな粒が成膜されることで銀膜の粗さが大きくなる。そこで、内径320μm、長さ1.2 mのガラスチューブ32本を内径3 mmのシリコンチューブに入れて接着剤で固定することで1束にして、ガラスキャピラリチューブ全体での断面積を増やし、銀鏡反応溶液がスムーズに細径ガラスチューブ内を通るようにした。製作した細径銀中空ファイバ(内径320μm、長さ1 m)の可視~近赤外波長損失特性(FWHM10.6°のガウスビームで励振)の測定を行った。波長1.5 μmにおいて約6.5 dBとなり、良好な銀細径中空ファイバを製作することが出来た。内径320 μm、長さ2 mのガラスキャピラリチューブを同様に束にして、銀鏡反応を行い、製作した内径320 μm、長さ1.8 m銀中空ファイバでは、波長1.5 μmにおいて約7.6 dBとなり、十分に使用可能な細径銀中空ファイバを製作することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀鏡反応の前処理として、SnCl2溶液を用いたセンシング処理とSnCl2溶液を均一にコートするためのコンディショニング処理(触媒の吸着改善)を導入し、また、内径320μmのガラスチューブ32本を束にすることで、銀鏡反応溶液の流量を十分に流すことが出来るようになり、良好な細径銀中空ファイバを製作することが出来た。ファイバ長1.8 m程度においても、十分に使用可能な細径銀中空ファイバを製作することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、超柔軟高機能細径光学膜内装銀中空ファイバの製作を行う。人体組織に強く吸収され、効率のよい切開が可能なEr:YAGレーザ光、止血効果を有するCO2レーザ光 、ならびに照射部位を示す緑色ガイドLD光 を同時伝送可能な超柔軟高機能細径中空ファイバの製作を行う。技術課題は、内径320 μmと細径でありながら、高反射膜として環状オレフィンポリマー(COP)を用い、膜厚を数10 nmオーダーで精密に制御し、最適膜厚の成膜を行うことである。低損失化用最適光学膜厚の設計を行う。そして細径中空ファイバへの光学膜の均一成膜技術の開発を行う。CO2レーザ光とEr:YAGレーザ光並びに可視ガイド光の同時伝送に有効な光学膜の一様成膜技術を確立する。
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