2022 Fiscal Year Annual Research Report
水素ラジカルによるポリマー材料の分解・除去における酸素微量添加効果の解明
Project/Area Number |
19K04543
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 雅史 香川高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (60733821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀邊 英夫 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00372243)
長岡 史郎 香川高等専門学校, 電子システム工学科, 教授 (30300635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素ラジカル / ポリマー分解 / 酸素微量添加 / 微量フォースセンサーシステム / ラマン分光法 / 深紫外線励起発光分光法 / 分子軌道計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,酸素添加時に生成される各種ラジカルの反応性やそれらの相互作用を明らかにし,水素ラジカルを用いたポリマー材料の分解・除去における酸素微量添加による分解速度向上の原因を解明し,さらなる分解速度の向上を目指すことである。以下のとおり,今年度の研究成果を報告する。 〇微量フォースセンサーシステムの構築を進めた。チャンバー内への設置可能な構造設計および製作を行った。真空内での放熱対策として,冷媒循環用の配管を導入する構造を取り入れた。真空中での運用には至っていないが,構造面や制御面での改良により,大気雰囲気で0.1 mgの微小な重量変化の計測が可能なセンサーシステムを実現できた。これまでの光干渉による膜厚変化に代わって重量変化による分解速度のin-situ計測が可能な新たな測定系であり,アレニウスパラメータを詳細に解析できると考えている。 〇ラマン分光法によるポリマー膜の分析を行った。本研究でターゲットとしているポリマー膜に適用してみたところ,入射光強度が低い場合はシグナルが得られなかった。入射光強度を高くすると,膜が燃えてしまい有意なスペクトルを取得することが難しいことがわかった。ラジカル照射中のポリマーの変質を調べるためには,別の方法を検討する必要がある。 〇ラジカル照射後のPACを含有するノボラック樹脂について,深紫外線励起発光分光法による分析および分子軌道計算による検討を行った。ラジカル照射により発光ピークが長波長側へシフトしており,新たな中間準位が形成されていると考えた。様々な架橋構造モデルにおける最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)を計算すると, PACを含有した構造モデルでは,ノボラック樹脂のみの場合のバンド間に準位が形成されることがわかった。発光ピークのシフトは,PACを介在した架橋によるものと考えている。
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