2019 Fiscal Year Research-status Report
電気化学的物性値に基づく不飽和コンクリート中の物質移動予測モデル
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19K04545
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
皆川 浩 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10431537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 慎太郎 東北大学, 工学研究科, 助教 (60709723)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不飽和コンクリート / 物質移動 / 非破壊試験 / 電気抵抗率 / 含水率 / 電位分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート内部の含水状態は不飽和状態のコンクリート中の塩化物イオンの移動に影響を及ぼす.そのため,本研究では,通電時の供試体の表面電位分布が含水率分布によって変化することに着目し,計測した表面電位分布から供試体内部の含水率の分布を非破壊で評価する手法を開発するための基礎的検討を実施した. 本研究で構築した方法では,まず,角柱供試体に電流電極と電位差電極を供試体表面に配置して通電し,供試体に流れる電流と供試体表面に生じる電位差を複数個所で測定する.電極の配置位置は複数案の検討の結果,最も測定結果のばらつきが少ないものを選定した.次に,有限要素法によって供試体の含水率および電気抵抗率を配分したジオメトリモデルに流れる電流と同表面の電位差との比を計算し,その結果と先に測定した結果の整合性を反復計算によって高め,電気抵抗率および含水率の分布を推定する.有限要素法による電流・電位分布は,Laplace方程式を所定の境界条件を与えて解くことにより計算した.さらに,屋外での測定に対応するために,温度補正係数を既往の実験データとアレニウス則により導出し,それを上記の方法に実装した. 構築した方法の妥当性を検証するために,10×10×20 cmのコンクリート供試体を,配合2水準,乾燥条件2水準,乾燥後の吸水条件3水準,温度3水準で準備し,構築した方法で内部含水率を評価するとともに,乾式カッタで供試体を切断し,切断試料の含水率を実測した.評価および実測された含水率を比較した結果,評価結果の最大誤差は,乾燥のみ作用させた条件では4.1 %,乾燥と給水を作用させた条件では8.8 %であり,乾燥のみを作用させた条件では,概ね含水率分布を評価できていることが確認された.また,温度の影響もアレニウス則をベースとした温度補正式を用いることで改善されることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は非破壊で含水率分布を評価する方法の構築にめどをつけることであった.方法論の基礎を固め,複数水準の実測データによる比較検証を通じて,一定の精度で含水率分布を評価できることを確認できたため,研究は順調に進展していると言える.なお,塩害環境下の供試体には塩化物イオンが浸透しており,塩化物イオン濃度が評価結果に及ぼす影響を定量し,構築した方法に実装する必要がある.この件に関しては,暴露供試体の実測とともに,2020年度以降において引き続き検討する.
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Strategy for Future Research Activity |
供試体中の含水率分布を評価する手法を構築できたので,新潟県と神奈川県の沿岸部に暴露している供試体の含水率分布の評価および塩化物イオン濃度分布の実測を実施し,本研究の最終目的である不飽和状態における塩化物イオンの移動現象の評価に取り組む.
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Research Products
(2 results)