2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K04551
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
新 大軌 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (70431393)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 建設材料 / 廃棄物有効利用 / 二酸化炭素排出削減 / 資源循環型社会 / 低炭素社会 / 化学混和剤 / 添加剤 / 反応メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
建設産業におけるセメントからのCO2排出量削減と循環型資源有効利用を両立させた汎用型混合セメントを開発することが2030年までの温室効果ガス排出量削減目標を達成するためには急務である。しかし、混合セメントの問題点として混合材置換率の増大によって初期強度が低下することがあげられる。我が国では型枠効率や施工性の向上のため、ヨーロッパなど海外とは異なりコンクリートの初期強度を発現することが重要となる傾向があるため、混合セメントの利用が海外に比べて進んでいない。化学混和剤の中にはセメントや混合材自体の水和反応速度を増加させるものが存在することが指摘されているが、化学混和剤を使用して混合セメントの初期強度発現性を改善させようという例はない。本研究では化学混和剤を使用した初期強度発現性を改善させた汎用型混合セメントを開発することを目的として研究を行う。 2020年度は、混合セメントを想定した混合材に水酸化カルシウムを加えた系において、フライアッシュ、高炉スラグなどの混和材の反応性に及ぼす化学混和剤の影響について検討を加えた。アミンや亜硝酸塩はセメント中の鉄やアルミニウムの溶解性を高めることが指摘されており、混合材に対してもアルミニウムの溶解を促進させポゾラン反応を促進する可能性があることから、液相中のアルミニウムイオン濃度の変化についても着目して検討を行い、混合セメントの水和促進メカニズムについて考察を行った。 その結果、水酸化カルシウムを加えた系において、亜硝酸塩などの添加剤によって高炉スラグの反応性は大きく増加することを見出した。一方で、フライアッシュに対しては、添加剤の反応性に及ぼす影響は非常に小さいものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請時に記載した今年度の研究計画内容については、検討を終了できたことから、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はOPCと同等の性能を有する汎用型混合セメントの開発を目的とし、混合材のフライアッシュの置換率は10%から30%程度まで、高炉スラグは高炉スラグの置換率は30~60%を中心とし、化学混和剤を添加した混合セメントの初期水和発熱特性および混合セメント硬化体の空隙構造について解析を行う。さらに、流動性、断熱温度上昇量、材齢7日以降の長期反応特性について水酸化カルシウム生成量、空隙構造などを検討し、中性化抵抗性などの耐久性について検討を行う。
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