2019 Fiscal Year Research-status Report
コンクリートの物質透過性および劣化抵抗性の早期推定手法に関する研究
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19K04552
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 隆史 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (10537236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 凍結融解試験 / 小型供試体 / 相対動弾性係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
同一バッチで製造されたコンクリートを用いて,JISに規格化されている100×100×400mmの角柱供試体と,Φ75×150mmの円柱供試体を作製し,凍結融解試験を実施した.凍結水には,劣化を促進するために塩水を用いた.凍結融解サイクルは,100×100×400mmの角柱供試体がJIS A 1148「コンクリートの凍結融解試験方法」の規定に従う温度で凍結融解の繰返しを行った.水セメント比が35%の早強ポルトランドセメントを用いた配合のコンクリートを用いた.養生は最高温度が50℃の蒸気養生を行った後,脱型後,気中で養生を行った.凍結融解試験前後の一次共鳴振動数から求めた動弾性係数の比較により,コンクリートの劣化を判定した.その結果,100×100×400mmの角柱供試体で,100サイクル,250サイクルで相対動弾性係数が60%を下回ったコンクリートでは,Φ75×150mmの円柱供試体では,70サイクル,100サイクルで相対動弾性係数が60%を下回った.また,100×100×400mmの角柱供試体で300サイクルの相対動弾性係数が80%のコンクリートでは,Φ75×150mmの円柱供試体では,150サイクル程度で相対動弾性係数が60%を下回った.100×100×400mmの角柱供試体で300サイクルの相対動弾性係数が100%のコンクリートでは,Φ75×150mmの円柱供試体でも,300サイクル程度で相対動弾性係数が100%を保った.供試体寸法を小さくすることで,JISに規格化されている方法よりも,短期間に劣化を促進させることが可能であると思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凍結融解試験については,JISに規格化されている試験体よりも小さい試験体を用いることで,早期に劣化することが確認でき,概ね方向性が見いだせたように思われる.今後は,JISに規格化されている試験体と小さい試験体のサイクル数の関係を示すことが必要になる.またスケーリング試験と相関関係が認められる小片供試体についても,今後検討を行う.一方で,塩化物イオン浸透性および中性化に関しては,試験器具の準備にとどまっているため,今年度,加速していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
塩化物イオン浸透性および中性化について,薄片を用いた試験方法を検討する. 塩化物イオン浸透性では,2mm~10mm程度の薄片を塩水に浸漬させ,薄片全体の塩化物イオン量の変化を用いて,拡散係数および飽和塩化物イオン量を求める方法を検討する.それらによって得られた拡散係数および飽和塩化物イオン量と,土木学会規準で示されている方法の相関関係を検討する. 中性化も塩化物イオン浸透性と同様に,薄片を中性化槽に曝露し中性化させ,粉砕した粉末と蒸留水との混合液のpHもしくは中和滴定を用いて,中性化の程度を調べ,中性化速度を求める方法を検討する. いずれも,モルタルを用いた試験によって方向性を見出し,コンクリートの試験方法を検討していく.
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Causes of Carryover |
消耗品が計画より少なく済ませたため.次年度以降も当初計画よりも配分額は少ないため,謝金,消耗品を節約しながら,研究を進める.
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